世界の朝食を楽しむカフェが人気化する必然 一枚のお皿で楽しみながら異文化を学べる

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メニューは、「イギリスの朝ごはん」、パンケーキ、ポーリッジ(粥)の定番が3種類と、2カ月ごとに入れ替わる世界各地の朝食1種類。ドリンクは、アルコール含め40種類ぐらい用意されている。価格は1皿で1000~1500円と、朝食としてはやや高めだ。

定番メニューのパンケーキ「アメリカの朝ごはん」(写真提供:日光デザイン)

3~4月のテーマはイスラエル。全粒粉のパンと、トマトソースのようなものに目玉焼きがのった「シャクシュカ」、ひよこ豆の「フムス」(ペースト)、白いチーズ、サラダなど。食材は日本のスーパーで売っていないものも多く、専門店で仕入れる。全粒粉のパンは同じものが販売されていないため、手作りしているという。

いちばん人気があったのは台湾の朝ごはん

客は、日本人が8割、外国人が2割程度。客入りや客層はテーマとする国によって波があり、北欧がテーマの時期は20~30代の女性が増えた。

現地の人に取材をしてメニューのイメージを作る(筆者撮影)

「知られていない国のときは客足も落ちるんです。ですから店の経営に響かない程度にメジャーな国を挟みながら、さまざまな国を紹介しています」(木村氏)

これまででいちばん人気があったのは台湾で、しかも日本人を除けば、台湾からの旅行者がもっとも多かったそうだ。「台湾の人は基本的に家で料理をしないから」(木村氏)とのことで、自国で食べるよりかなり割高だったろうが、何度も来てくれたそうだ。

同店のこだわりは、それぞれの国の料理を忠実に再現することだ。

「すべての国の料理がおいしいわけではありません。でもだからといって、食べやすいようアレンジしたりはしません。たとえば日本のみそ汁だって、私たちにとってはホッとする味ですが、他国の人にとっては微妙な味だと思います。が、そこで誰にでも受け入れやすい味にしてしまうと、文化が伝わらなくなってしまいます」(木村氏)

インターネットや文献などで調べるだけでなく、必ず現地の人に取材をし、さらに味のチェックまでしてもらうという。日本であまり知られていない国の場合は特に人探しが難しい。始めは苦労していたが、現在は、取り組みが広く知られるようになったこともあり、大使館や政府観光局のほうから「自分の国を紹介してほしい」と申し入れがあることが多いそうだ。

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