安倍首相、財政再建の政策目標を「すり替え」

「高い成長率」と「日銀緩和の継続」を頼みに?

安倍政権として5回目の「骨太方針」だが、痛みを伴う改革には手をつけずじまい(時事)

20年度の財政再建目標は先送りか──。「経済財政運営と改革の基本方針」、いわゆる"骨太方針"が議題となった6月2日の経済財政諮問会議で、新たな財政再建目標が打ち出された。従来のプライマリーバランス(基礎的財政収支。国債発行とその元利払いを除く歳出と歳入の収支)の黒字化だけでなく、債務残高の対GDP(国内総生産)比の安定的な引き下げを同時に目指す、というのだ。

安倍晋三首相の真意はどこにあるのか。その手掛かりとなるやり取りが、今年3月の参議院予算委員会で交わされている。

PB黒字化は難しく、消費増税もまた見送りか

「財務省だけは絶対にプライマリーバランス(PB)が大事と言う。これを止めるのが御聖断なんですよ。総理、どうですか」

自民党の西田昌司参議院議員にこのように振られて、安倍首相は答えた。

「私はPB至上主義ではもちろんありません。PB(の黒字化)を達成した翌年にデフォルトになった国があるんですから」

「自動的にPBを、いわば無理やり人工的にバランスさせたって、これはまさに意味がない。支出を半減すれば一気に大不況になりますから、税収もどんどん減って、その翌年から経済は最悪になる」

同時に「通過点としてちゃんとPBを黒字化させていくことも当然大切」と付け加え、従来目標にも一応は配慮した。ただ、答弁のトーンから判断するに、安倍首相は2020年度のPB黒字化という公約に強くこだわってはいないようだ。

次ページ新たな目標に変えるワケ
政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 自衛隊員も学ぶ!メンタルチューニング
  • ポストコロナのメガ地経学ーパワー・バランス/世界秩序/文明
  • 最新の週刊東洋経済
  • 日本野球の今そこにある危機
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
改正対応待ったなし!<br>働き方と仕事の法律

同一労働同一賃金の本格化、中小企業でのパワハラ防止対策の義務化など、今年は重要な改正法の施行が目白押し。2022年に施行される法律の要点に加え、昨年の4月に施行された改正民法も総点検。改正ラッシュへの備えを万全にするための法律虎の巻です。

  • 新刊
  • ランキング
東洋経済education×ICT