安倍首相、財政再建の政策目標を「すり替え」

「高い成長率」と「日銀緩和の継続」を頼みに?

問題は、成長率が金利を上回る状態が実現可能かどうかだ。過去の長期金利と名目成長率の実績と、内閣府が今年1月に公表した「中長期の経済財政に関する試算」を併せて見ると、「試算」の想定がいかに異例であるかが一目瞭然だ。

成長率が金利を上回る事態は過去には1980年代後半のバブル期以外に存在しない。ところが、内閣府の「経済再生ケース」では13年度から22年度までこうした状態が10年間続くことになっている。

日本総合研究所の湯元健治・副理事長は「今は日本銀行が金利を低く抑えているが、成長率より金利のほうが低いのは異例な状態。PB目標が外されると、金融緩和や経済成長に頼る計画になりかねない。さらに、本当に怖いのは20年以降に起こる社会保障費の膨張への財政的な手当てがゼロであることだ」と指摘する。

奇策に頼る安倍政権

当記事は「週刊東洋経済」6月17日号<6月12日発売>からの転載記事です

昨年以降、米国からクリストファー・シムズ教授をはじめノーベル賞級の大物経済学者が来日し、「インフレを起こせば財政再建は可能」などと語った。苦難に直面すると非現実的な解決法にすがってしまうのは人間の性(さが)なのかもしれないが、舶来の奇策にばかり頼ってはいまいか。

憲法改正、共謀罪法案に、「PB黒字化の放棄」が「ご聖断」では軽すぎる。地道で不人気な課題に着実に取り組めない政治は、ポピュリズムそのものだ。

政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • ゴルフとおカネの切っても切れない関係
  • 「お金で損しない」森永康平のマネーリテラシー講座
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • iPhoneの裏技
トレンドライブラリーAD
人気の動画
地方スーパーが撃沈「コスモス薬品」の破壊力
地方スーパーが撃沈「コスモス薬品」の破壊力
年を取っても記憶力がいい人と低下する人の差
年を取っても記憶力がいい人と低下する人の差
日本人が知らない「ビタミンD」不足の怖さ
日本人が知らない「ビタミンD」不足の怖さ
「上司の品格」を疑われる、やってはいけない7つの質問
「上司の品格」を疑われる、やってはいけない7つの質問
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
12のスキルを完全レクチャ<br>ー! 無敵の話し方

ビジネスシーンで大きな武器になる「話し方」。スピーチや交渉、会議など12のスキルを徹底解説します。『世界最高の話し方』著者による共感力スピーチの極意、TED流のノウハウが2時間で身に付くプレゼン術、自民党総裁選候補者のスピーチ診断も掲載。

東洋経済education×ICT