革靴の手入れ術は素材によってまったく違う 若手注目職人が説く「週末靴磨き」の奥義

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最後はリザードやクロコダイルといった爬虫類系。

「基本は牛革と同じケアで大丈夫なんですが、注意点はウロコの間。割れやすいので、しっかりそこにクリームを入れて挙げて下さい。またコーティングしていることが多く、アルカリ性に弱いんです。靴用の水洗い用シャンプーを使ったりすると、光沢感が消えてしまうことがあります」

水生生物なのに水洗いに弱いとは、なんとも皮肉な話だ。

「キレイな色…!」は危険? 購入時には、ケアも考える

「やり方を守って定期的にケアすれば、どんな靴でも長期間履くことができますよ。ただ、購入時に注意しておきたいことですが、あまりトリッキーな色を選んでしまうと、ケアが大変になるんです。というのも、クリームやワックスの色は限られているからです。水色とかライトグリーンといったマニアックな限定色を勢いで買うと、あとあと苦労することもありますから気をつけて下さい」

靴の購入時には、お手入れグッズもあわせて揃えるといいかもしれない。

教えてくれた人

「どんな素材や色の靴であっても、ガシガシ履いていただいて大丈夫です。そのためのお手入れですからね」

明石さんのいうように、「ケアが大変だから」「高価だから」と遠慮して履かずに、靴箱の肥やしにしてしまうなんて本末転倒。それに、いい靴は作りもいい。それぞれの靴の特徴をキチンと把握しておけば、気押されずに楽しいシューライフを満喫できそうだ。

(吉々是良:取材・文/小島マサヒロ:撮影)

明石 優/靴育て研究家・絵描き。茨城出身。2006年靴磨きを始める。2008年シューズラウンジ brift Hが南青山にopen、百貨店、一流アパレルブランドのイベントなど靴磨きパフォーマンスを経験。2011年独立。現在、世田谷ものづくり学校内『自由大学』、熊谷『NEW LAND』などさまざまな場所にて日本には数少ない靴磨きの講師として活躍。 靴のケアをより身近にしてもらいたい想いで代々木公園にてaozora shoe shine schoolも開講中。 この時代だからこその靴磨きの大切さと奥深さを伝え、靴を手入れすることを歯磨きくらい当たり前の文化へ発展させていく。
「OCEANS」編集部

メンズファッション&ライフスタイルの情報誌『OCEANS』は、 “37.5歳”をキーワードにした独自の切り口が支持を集め、2006年の創刊以来、多くの読者にご愛読いただいています。2017年1月にはデジタルメディアを大幅リニューアル。ファッションはもちろん、毎日の“オッサンライフ”をもっと楽しくするハウツー情報の配信だけでなく、「対話するWEBマガジン」をテーマに、スナップ、動画、イベントなども展開していきます。

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