トミヤマ:だからなのか、この本ってけっこう大人の方が買っているんですよね。
清田:みんな、30歳を超えたあたりから「大学時代もっと勉強しとけばよかった」と思い始めるんじゃないかな。ぼくは大学時代から恋バナを聞く活動をやっているんですが、昔は「彼氏がムカつく」とか「片思いを成就させたい」とか純粋な恋愛の話だったのが、アラサーになってくるとそれが結婚の話と結び付き、労働や貧困、子育てや介護といった社会問題と接続していく感じが出てきました。
もともとはただの趣味だったものが、だんだん自分の生き方や社会のあり方とつながってくると、それをきっかけに政治や経済にも関心が出てきて、勉強というものががぜん面白くなってきた。30歳を超えると、誰しもそういう経験をするんじゃないでしょうか。
常見:大学時代に「勉強しろ」と口を酸っぱくして言われますが、そのときはピンと来ませんよね。でも、社会に出てから勉強の大切さが身にしみる。会社で人事の仕事を経験してから労働問題にさらに興味をもちましたし、保育園の問題だって自分が当事者になって「保育園落ちた日本死ね」の気持ちがわかりました。
押し入れのギターを開示して
トミヤマ:30代になると、自分の人生のこれまでとこれからをある程度整理できるようになりますよね。そのとき、若い子たちにどうしても伝えたかったのは、過去の失敗談でした。「しくじってもなんとかなる」って言いたかったんです。いわゆる「勝ち組」じゃなくても、楽しい人生はあると。
常見:そのときに、いかに「意識低く」伝えるのかが大事だと思います。「失敗を恐れるな」ってありきたりな言葉を、社長が入社式で言ったりもする。でもその社長の「失敗」って、立派なんですよ。中国市場を攻めようと思ったけど競合が進出してきてダメだった!みたいな。
清田:失敗談がかっこよすぎる(笑)。
常見:でも入社して実際にやるミスって、しょうもないし、かっこ悪い。営業のメール送ったけど、名前変え忘れてコピペがバレました……みたいなことの連続ですよね。
清田:いま偉そうに大人ぶってる人たちだって、かつてはしょうもないミスをしていたはずだし、恥ずかしい黒歴史だっていっぱいあると思うんです。誰しも「押し入れにしまったギター」ってあるじゃないですか。こっそりしまってる過去の恥部というか。大人たちにはもっとそういうものを開示してほしいんですよ!
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