スタバのバリスタ、なぜ「豆」を売る カフェ市場成熟でも「原点」教育で生き残る

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米国本国のスターバックス・コーポレーションは1971年、ワシントン州のシアトルで創業した。当時はコーヒー豆の販売が専門で、現在のようなカフェは展開していなかった。

1982年にハワード・シュルツ氏(現会長、社長兼CEO、写真は2010年撮影)が入社、同氏が1年かけて会社を説得し、1984年に実験的にカフェ事業へ参入。その後、シュルツ氏は経営方針の違いから会社をいったん去り、自らカフェチェーン「イル・ジョルナーレ」を創業した。その後、1987年にイル・ジョルナーレがスターバックスを買収し、社名を変えて、現在に至っている。

つまり、日本のスタバでも、この米国本社創業の原点ともいえるコーヒー豆の販売を、優秀なバリスタの条件の一つと見なしているのである。

味わいや風味を自分の言葉で表現する

アンバサダーカップがユニークなのは、社員やアルバイトの教育制度「コーヒーマスタープログラム」と密接に結び付いている点にある。

スタバの場合、アルバイトとして働き始めると、まずは1カ月をかけて、レジの打ち方からはじまって、コーヒーやフラペチーノの作り方まで学ぶ。その後はスタバが販売する定番のコーヒー豆15種類、季節限定品(年間で10~14種類ほど)の産地や風味、味わいを覚えていく。

その際、「パンフレットに書いてあることを暗唱しても、顧客の感動は生まれない」(江嵜氏)ことから、風味や味わいについての情報は極力与えず、バリスタ個人が自分の言葉で風味をどう表現するかを重視する。こうしてコーヒー豆の知識を蓄え、社内で年1回実施される筆記テストをパスすれば、ブラックエプロンの資格を得ることができる。

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