スタバのバリスタ、なぜ「豆」を売る カフェ市場成熟でも「原点」教育で生き残る

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外食業界では店舗規模に対して、本部の人員は少ない。そのため従業員が店長や営業統括担当者(スーパーバイザー)に昇進すると、それ以上のキャリアを描きにくい。アルバイトも日常業務に熟練することはできても、その先の長期的なキャリア像が描きにくい。それはスタバでも例外ではない。

日本だけのアンバサダーカップ、韓国からも視察

「パートナー(従業員やアルバイト)そのものがスタバのブランド。原点であるコーヒーへの熱意を持ってほしい」――。

そう考えた江嵜氏はチームを集め、社内の教育制度に沿った形で従業員やアルバイトのやる気をうまく引き出す仕掛けをアンバサダーカップとして2002年に考案。アンバサダーカップは今年で11回を数え、「プログラムはどんどん洗練されている」(江嵜氏)という。

スタバは現在、世界60カ国近くに展開しているが、米国を含め、このようなイベントを行っている国はほかにない。今年開かれたアンバサダーカップには、韓国のスタバから視察団が訪れ、プログラムの現地化を検討しているという。

もちろんスタバの好調はこうした人材教育だけにあるのではない。水面下で商品力の強化や絞り込みを進めてきた。2009年にはエスプレッソマシンを全面的に入れ替え、バリスタがエスプレッソ用の豆をチャンバーにセットする必要をなくすなど、品質の安定化と作業の迅速化を進めている。

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