スタバのバリスタ、なぜ「豆」を売る カフェ市場成熟でも「原点」教育で生き残る

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絶好調のスタバに死角はないのか。ブラックエプロンの保持者で、経営戦略を統括する、戦略・ファイナンス統括オフィサーの北川徹氏も、「2ケタに近い既存店売上高の伸びは、決して実力値ではない」と危機感さえ見せる。

成熟進むカフェ市場、生き残りのカギは

スタバは今後、都内ではより小型の店舗で、郊外ではドライブスルー付きの大型店で出店を進めていく方針だ。この4月には、初めてアルコールを提供する新業態の店舗を住宅地へ実験的に出すなど、新たな出店余地を模索している。

街中にあるスタバの店舗を訪れてみると、店内では急激な客数増に対応しきれず、満席を理由に入店を断るケースも散見される。ある意味では売り逃しが常態化しており、顧客の離反につながりかねない状況ともいえる。

さらにスタバが今後の成長のドライバーと見込む郊外にはすでに、名古屋発祥のコメダ珈琲店が500店舗超を布陣しているほか、ファミレス各社やマクドナルドもコーヒーの商品性改善や居心地よい内装への改装などを通じて、カフェ需要の取り込みに注力している。低価格で買えるセルフ式ドリップコーヒーなどを本格化し始めたコンビニエンスストアも手強い競争相手だ。

スタバは成熟市場の中でさらに成長が可能なのか。原点であるコーヒー豆への熱意にこだわり続けることが、その解法の一つになるのかもしれない。

松浦 大 東洋経済 記者

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まつうら ひろし / Hiroshi Matsuura

明治大学、同大学院を経て、2009年に入社。記者としてはいろいろ担当して、今はソフトウェアやサイバーセキュリティなどを担当(多分)。編集は『業界地図』がメイン。妻と娘、息子、オウムと暮らす。2020年に育休を約8カ月取った。

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