その条件とはなにか。要約すると「調査結果を分析のうえ、独自のゴルフ市場活性化策を立案すること」「データ提供から3カ月後をメドにその活性化策をまとめた報告書をPGAの経営戦略委員会に提出すること」となっている。
平たく言えば「アイデア募集」である。既存ゴルファーのライフスタイル調査結果を見て「みんなで対策を考えよう」ということだ。三石氏は「PGAの中だけでこのデータを使っても、アイデアには限界がある。それならば、無償で開示してゴルフ業界全体でアイデアを出すようにすれば、データはもっと有効に活用できる」という。
PGAの根本修一事務局長も「PGAの中だけでは使える用途は限られるので公開したほうが有用だという考えです。既存ゴルファーをリタイアさせないための方策が出てくれば、新規ゴルファー創出のヒントになるかもしれない」と同様の考え方。アイデアを広く募るために、基になるデータを提供する形だ。
「データの持ち腐れ」を防ぐ一手
確かに、せっかく市場調査、消費者調査を実施しても「データの持ち腐れ」に陥ってしまうことは、ゴルフ界に限らずあることだろう。また、1企業や1組織だけで考えてもアイデアには限界もある。すでに、20社以上の企業や組織から詳細版提供の申し込みがあったといい、ゴルフ業界以外からも来ているという。三石氏は「何か考えたいという企業があるのはうれしい」と反応を歓迎する。
もちろん、ゴルフをやるやらないにかかわらず、一般の個人でも「条件」をクリアできるのであれば、データの無償提供を受けられる。
「PGAが協力していけたり、コラボレーションしていけるようなアイデアが出てくれば。倉本会長も常々『PGAを利用してほしい』と言っています」と、根本PGA事務局長は言う。市場活性化策が集まった際には「プレゼン大会を開くとか、PGAやゴルフ業界のプロジェクトチームへの参画などに広がっていけば」(三石氏)と、期待を胸にする。
では、どんな調査結果が出たのだろうか。今回の調査では通り一遍のアンケート調査ではなく「生活の中でのゴルフの位置づけや、ゴルフと『時間消費』で競合している相手は何かなど、より具体的にゴルファーのライフスタイルに近づくような設問にし、ゴルフへの不満や満足度などを明らかにしようとしました」(三石氏)という。記述式のフリーアンサーも取っている。
「タダでデータを見られるなら、アイデアの1つでも出してやろう」と思われた方、筆者がサマリー版(簡易版)をめくっていて、いちばん目についたものを紹介しよう。「ゴルフスクールに通ったことがない」というゴルファーが約70%、ゴルフ人口(760万人)比にすると551万人もいるのだという。
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