前回のブームとの違い
今回は樹齢100年以上の「古樹」から採れる茶葉が特に人気だという。
前述の店主はこう言う。
「古樹、古樹といっても、ピンからキリまであるが、プーアル茶の味なんて正直知らない連中ばかりなので、樹齢何100年の古樹というのはわかりやすいセールスポイントになる」
古樹のお茶は、すぐに売らずに置いておくと熟成し、香りがよくなる。
雲南省の外からも投機家が直接、産地に出掛けていき、大量に買い付けている。このため、古樹の産地での買い付け価格は高騰し、すでに2007年の高騰時を抜いてしまい、偽物も出回っているという。
雲南最大のミネラルウォーター会社で、「雲南山泉」ブランドで知られる雲南大山公司の社長夫人とたまたま知り合いになり、いろいろ話しているとお茶の話になった。社長夫人は目を輝かせてこう言った。
「実は私も古樹に投資しているのよ。友人たちと一緒に少数民族の茶畑を買い取って栽培から製茶まで管理していて、今年はチャンスだから数年前からストックしていたものを一気に売り出すわ」
今回のブームと2007年との最大の違いは、健康茶として中国国内でプーアル茶の知名度が完全に定着したという点だろう。プーアル茶はコレステロールや中性脂肪の低下、消化促進などの効果があるとされ、日本でも愛好者が増えているが、中国でも健康ブームで、プーアル茶が「痩身茶(やせ茶)」として広く知られるようになった。
清代の「本草綱目拾遺」という本には、プーアル茶について「酒を醒ますのによく、消化不良を直し胃を健康に保つ、その効果は大なるものがある」という記載がある。ウイグル族などの少数民族が、肉類を大量摂取したときにプーアル茶を好んで飲んでいるのも、こうした整腸作用を知っているからだと言われており、ぜいたくな肉食が一気に広がった今の中国の飲食文化にも、ちょうど合っていると言えなくもない。
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