中国で盛り上がる「プーアル茶バブル」 高級品は1斤13万円まで高騰!

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野菜バブルも相次ぐ

加えて、茶業界からは、現在、中国では最近の株安、土地安で行き場をなくした流動資金が投資先を捜してさまよっており、再び、プーアル茶に狙いを定めたとの観測も流れている。

2008年のリーマンショックを受けて、中国政府は成長を維持するために巨額の資金を市中に放出した。余剰資金は不動産、為替などの市場だけでなく、商品市場にも乱入してきた。2010年前後にニンニクが投機家のターゲットとなって高騰したことは知られているが、ほかにも断続的に豆類やトウガラシ、トウモロコシ、大豆など、ありとあらゆる農産物が急激な価格高騰に動いて、あっというまに下落するという野菜バブルが相次いで発生している。

現在、中国では株価や不動産価格は低迷し、金価格も下落するなど、短期的な投機的資金をつぎ込むところがなくなっている。そこで再び、投機家がプーアル茶に目をつけ始めたかたちだ。

迷惑を被るのは消費者だ。以前は気軽に飲めた3年もの、5年ものでも買う気にならない値段になった。雲南省の茶業組合なども「投機的な売買を控えてほしい」と呼びかけている。一方で生産者の間では2007年のバブルの再来への期待感が広がっており、茶畑のある山村で家の新築や新車の購入のラッシュが起きているとの報道もある。

今回のプーアル茶のマーケットがどうなっていくのか、いつまで高値を保つことができるのか、不透明さを増す中国経済の行方と同様、誰もはっきりしたことはわからないというのが実情だ。

野嶋 剛 ジャーナリスト

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のじま つよし / Tsuyoshi Nojima

1968年生まれ。上智大学新聞学科卒業後、朝日新聞社入社。シンガポール支局長、政治部、台北支局長などを経験し、2016年4月からフリーに。仕事や留学で暮らした中国、香港、台湾、東南アジアを含めた「大中華圏」(グレーターチャイナ)を自由自在に動き回り、書くことをライフワークにしている。著書に『ふたつの故宮博物院』(新潮社)、『銀輪の巨人 GIANT』(東洋経済新報社)、『ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち』(講談社)、『台湾とは何か』(ちくま書房)、『タイワニーズ  故郷喪失者の物語』(小学館)など。2019年4月から大東文化大学特任教授(メディア論)。

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