2007年にも訪れたプーアル茶バブル
雲南省の省都・昆明。標高1700メートルの高原都市は、連日40度という異常気象レベルの猛暑に見舞われた中国各地の都市から、ほうほうのていで避暑に逃げてくる人々でにぎわっていた。
雲南省はプーアル茶の産地だ。そのプーアル茶で異常な価格高騰、つまりバブルが起きているというので、昆明郊外にある「雲南康楽茶城」に立ち寄った。
中国人は何かにつけて「城」をつけるのが好きだ。骨董品市場は「古玩城」。デジタル商品市場は「電子城」。図書市場は「書城」。お茶についても、緑茶の浙江省やウーロン茶の福建省など産地ごとに「茶城」がある。そして、昆明の茶城ほどジェットコースターのような激しい価格の高騰と下落を経てきたところは珍しい。
道路を挟んだ広大な敷地に、数百の茶店がずらっと並んでいるのは壮観だ。どこに入ろうか迷ってしまう。どの店の店頭のショーケースにも、プーアル茶の象徴である「餅」と呼ばれる円形に固められた茶葉がずらりと飾られている。
ベテランっぽい店主のいるお店に入り、プーアル茶を試飲しながら話を聞くと、「今年は高級品で1斤(500グラム)が1万元(約13万円)にまで上がっている。1斤が3万元になった2007年みたいになってくれるといいんだが。もちろんあんな暴落はもうこりごりだ」と言いつつ、店主の表情はうれしそうだった。
中国におけるプーアル茶バブルは2007年に訪れた。その熱狂ぶりは今も伝説となっており、「バブル崩壊」の到来も速かった。翌08年には価格が07年の10分の1から100分の1にまで下落。茶城では、店を畳むところが相次ぎ、この店主によれば、首を吊った人まで出たという。その後、マーケットは冷え込んだままだった。
なぜ緑茶やウーロン茶ではなく、プーアル茶の価格が高騰するのだろうか。
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