中国で盛り上がる「プーアル茶バブル」

高級品は1斤13万円まで高騰!

 この連載コラムでは、中国のみならず、台湾、香港、東南アジアを含む「グレーターチャイナ」(大中華圏)をテーマとする。私は20代から40代前半の現在まで、留学生や特派員として、香港、中国、シンガポール、台湾に長期滞在するチャンスに恵まれた。そうした経験の中で培った土地勘を生かし、「大中華圏」 での見聞を硬軟取り混ぜて皆さんにお伝えしていきたい。
中国で人気を集めるプーアル茶。今や庶民の手に届かない水準まで値上がりしている

2007年にも訪れたプーアル茶バブル

雲南省の省都・昆明。標高1700メートルの高原都市は、連日40度という異常気象レベルの猛暑に見舞われた中国各地の都市から、ほうほうのていで避暑に逃げてくる人々でにぎわっていた。

雲南省はプーアル茶の産地だ。そのプーアル茶で異常な価格高騰、つまりバブルが起きているというので、昆明郊外にある「雲南康楽茶城」に立ち寄った。

中国人は何かにつけて「城」をつけるのが好きだ。骨董品市場は「古玩城」。デジタル商品市場は「電子城」。図書市場は「書城」。お茶についても、緑茶の浙江省やウーロン茶の福建省など産地ごとに「茶城」がある。そして、昆明の茶城ほどジェットコースターのような激しい価格の高騰と下落を経てきたところは珍しい。

道路を挟んだ広大な敷地に、数百の茶店がずらっと並んでいるのは壮観だ。どこに入ろうか迷ってしまう。どの店の店頭のショーケースにも、プーアル茶の象徴である「餅」と呼ばれる円形に固められた茶葉がずらりと飾られている。

ベテランっぽい店主のいるお店に入り、プーアル茶を試飲しながら話を聞くと、「今年は高級品で1斤(500グラム)が1万元(約13万円)にまで上がっている。1斤が3万元になった2007年みたいになってくれるといいんだが。もちろんあんな暴落はもうこりごりだ」と言いつつ、店主の表情はうれしそうだった。

中国におけるプーアル茶バブルは2007年に訪れた。その熱狂ぶりは今も伝説となっており、「バブル崩壊」の到来も速かった。翌08年には価格が07年の10分の1から100分の1にまで下落。茶城では、店を畳むところが相次ぎ、この店主によれば、首を吊った人まで出たという。その後、マーケットは冷え込んだままだった。

なぜ緑茶やウーロン茶ではなく、プーアル茶の価格が高騰するのだろうか。

次ページもともとは低中級茶だった
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