中国のオークション会場は満員御礼
中国のオークションは、せっかちな中国人の性格がよく出ている。とにかくビッド(入札)を締め切る時間が、ものすごく短い。
「8000、8000、有接受?」(8000元だよ、この価格でいいかい?)
「现在1万、1万、还有没有」(今は1万、ほかにはあるか?)
「最后一次机会!」(これが最後、最後)
こんなやりとりの後、オークショニアが落札の槌を落とす音が響き渡る。
「是你的,几号?」(あなたのものです)
入札番号を素早く確認し、さっさと次の品が巨大な画面に映し出される。
驚かされたのは入札品の多さだ。サザビーズやクリスティーズなど普通のオークションではだいたい半日で100~200の物件をさばくことが多い。これに対して、中国のオークション会場の入り口で渡された分厚いカタログを開いてみると、1000を超えるナンバーまで振られている。これを朝の10時から午後の6時までかけて一気にさばいてしまう。ほとんどの品が1分以内に落とされ、落札者がいない「流標」となって流れてしまう品も3分の1ぐらいある。1点に絞って狙い澄まして落とすのではなく、「数撃てば……」の世界かもしれない。
中国の美術品マーケットは、土地や株の上昇が頭打ちになる中で、まだ好景気が続いている数少ない領域である。私は、かねてから見てみたかった中国本土でのオークションに、先月、初めて参加してきた。場所は上海。春と秋に訪れる年2回のオークションシーズンになると、中国ではどこの都市でも大小さまざまなオークションが開かれる。ただ、規模が大きいものが同時に数カ所で開催されるのは北京か上海しかない。
最近の上海は地下鉄と高速道路の整備が進んだこともあって、交通渋滞が以前ほどひどくなくなった。空気も北京よりは格段マシに感じる。
2日かけて、5~6カ所のオークションをはしごしたが、どこの会場も満員で大盛況。会場には、若い女性の姿も目立つ。タバコをぷかぷかふかし、ポロシャツを着た角刈りの男が、入札の番号が書いた札を上げていく。携帯で外部としゃべりながら入札している男もいる。中国におけるオークション熱が衰えていないことを実感させられた。
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