「女の子はこうあるべき」から解放される方法 女子高生時代に学ぶから意義がある

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

――応募要項に興味深い記述があります。「自己認識上の性別がシスジェンダー男性ではない高校生に参加を呼びかけています」とあります。LADYは「女子高校生向け」のプログラムというわけではない、のでしょうか?

今年のLADYは8月9~11日、2泊3日、千葉県立手賀の丘少年自然の家で開かれます。詳しくはこちらから。

河野:LADYの参加者を、生まれたときの性別が女性の方だけに限定してはいません。「シスジェンダー」とは、生まれたときの性別と自己認識の性別が一致し、それに沿って日常生活を送っている人のことです。

そうでない人、たとえば見た目の性別が男性で自己認識が女性の方はLADYへの参加資格があります。参加資格がないのは、生まれたときの性別が男性で、本人の自己認識も男性であり、そのように日常生活を送っている人、ということになります。

――アメリカでは自己認識の性に沿ったトイレを使えるようにすべき、という議論があったり、ジェンダー中立なトイレがあったりしますね。日本でも最近、LGBTに関する議論や理解が広がりつつあります。ただ、一般的に理解が進んだとまでは言えません。もう少し、教えていただけますか。

河野:たとえば私が通うスミスカレッジは女子大学です。アメリカにはいくつか女子大学がありますが、今ではほとんどが「シスジェンダー男性以外の学生」を受け入れています。

性自認や、自分がどんな人に愛情を感じるかということは、本来、アイデンティティの根幹にかかわる大事なことです。LADYでは、そうしたことも含めジェンダーの問題も安心して話ができる場を提供したいと思っています。

参加してくださる高校生のみなさんには、今の自分を大事にしながら、未来のための目標に向かって一生懸命進んでほしいと思います。そのために全力で応援します。

「日本の当たり前」にどっぷり浸かることのリスク

数ある「10代女性向け」プログラムとLADYが大きく異なるのは、社会的に決められる「女性らしさ」の問題、つまりジェンダー規範の問題に、正面から向き合っていることです。その深みは、国内の教育機関で大人が企画する「女性向けプログラム」の数年先をいっています。
現在、国内の高校・大学は、ほとんどの書類に「男性か女性か」記す欄があります。こういうことを「当たり前」として問いかけることで得るものと失うものについて、多くの大人が気づいてさえいない現状があります。
多少の海外経験を持つ大人なら「日本国内の当たり前」にどっぷり浸かることのリスクをご存じでしょう。日本で心地よく生きようとすることは、世界の変化に取り残されることにつながります。ビジネス上の慣習もしかりですし、ジェンダーに関する規範にも同様のことが言えます。河野さんたちの発想は大人にも気づきが多いものと思います。
治部 れんげ ジャーナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

じぶ れんげ / Renge Jibu

東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授。日経BP社、ミシガン大学フルブライト客員研究員などを経て2021年4月より現職。内閣府男女共同参画計画実行・監視専門調査会委員、日本ユネスコ国内委員会委員、日本メディア学会ジェンダー研究部会長、など。一橋大学法学部卒、同大学経営学修士課程修了。著書に『稼ぐ妻 育てる夫』(勁草書房)、『炎上しない企業情報発信』(日本経済新聞出版社)、『「男女格差後進国」の衝撃』(小学館)、『ジェンダーで見るヒットドラマ―韓国、日本、アメリカ、欧州』(光文社)、『きめつけないで! 「女らしさ」「男らしさ」』1~3巻(汐文社)等。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事