私、管理職になった。やっぱりたいへん!! 書評:『女性管理職のFAQ』(森本千賀子著)
女性がキャリアアップを目指すうえで、何かをあきらめてしまうことは少なくない。『女性管理職のFAQ』は働く女性たちに、「すべての夢をかなえたいと願ってもいいのだ」と勇気を与えることだろう。
著者はリクルートエグゼクティブエージェントのスーパー営業ウーマンでありながら、2児の母。タイトルだけ見ると、女性管理職のための指南書のようだが、すべての社会人に当てはまる内容も多い。
そして、何より説得力がすごい。ただ単に“こうしたほうがうまくいきますよ”というアドバイスだけではなく、著者自身がロールモデルとなって、実際に起こしたアクションの内容と、その結果までが書かれている。さらに、その時々の著者の感情や想いも記されているため、成功へのプロセスをイメージしやすい。
「管理職」という点では、著者は、「部下のサポート役」という考えを繰り返している。仕事に対しては細かい指示を出さず見守り、ピンチのときに手助けしたり、成果を褒めたりすることに力を注ぐやり方だ。
とにかく部下を食事に誘って話を聞く
このほかにも、サポートするうえで必要な「部下とのコミュニケーション」の方法についても詳しく書かれているが、これが女性ならではで面白い。とにかく部下を食事に誘って、あれこれ話を聞くという。
まず、じっくり話を聞いて「人間形成の原点」を知る。そして、「価値観」や「考え方」を理解する。そこから、「どんな場面で、どんな役割を持ったときにモチベーションが高まるのか」を探り、それをふまえて部下にミッションを与える。
ここでひとつ補足させてもらうなら、よく“女性の話は長い割に内容がない”などと言われるが、女性は、そんな他愛のない話からも、相手の細かい情報を読み取っているのだ。
女性ならではの強みを最大限に生かした実体験は、どれも参考になる。特に女性読者が気になるのは、結婚や出産といった「ライフイベント」と「キャリアアップ」の兼ね合いについてだろう。
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