日本の育児休業3年は長すぎる

仏ソルボンヌ大・リュシ准教授に聞く

働く女性への支援に力を入れるフランス。託児所の受け入れ体制強化や家族への資金援助など一連の「家族政策」の予算は国内総生産(GDP)の約3%。合計特殊出生率は2.0を上回り、高い水準を維持する。ドイツから8年前にフランス・パリへ移住し、仏国立人口研究所を経て現在はソルボンヌ・パリ第1大学で仏独両国の出生率の違いなどについて研究を続けるアンジェラ・リュシ准教授に話しを聞いた。
「家族政策で重要なのは中身」と語る、仏ソルボンヌ大のリュシ准教授。仏など出生率の高い国は、託児所など保育サービスの予算が手厚い

――フランスの出生率は2.0を超えるのに対して、ドイツは1.3程度。先進国では日本と似た状況です。

出生率は、子どもを持つ女性の雇用と密接な関係があります。ドイツでは小さな子どもを抱えた女性があまり仕事をしていません。あるいは、仕事を探すのが難しい状況です。

これに対して、フランスはいわゆる「ワークライフバランス(仕事と生活の調和)」が実現されています。先進国でも、米国はフランスと同じように出生率は高い。しかし、同国では移民の出生率の高さが全体の水準をカサ上げしている面があります。出生率が高いのは貧困層と非常に裕福な層に二極化しています。

一方、フランスや北欧諸国では、すべての層にわたって出生率が高くなっています。中流家庭にも子どもが多い。「ワークライフバランス」によるものといえるでしょう。育児休暇明けの女性の働く制度がきちんと整備されています。

フランスの場合、「事実婚」ともいうべき、PACS(連帯市民協約)に基づいたパートナーとの同棲が一般的なのも、出生率の高さの一因です。子どもの2人に1人は正式な結婚以外で生まれています。日本、ドイツ、イタリア、韓国などでは正式な結婚以外で生まれた子供の割合は極めて少ないのが現状です。

複数の省が関与するなど、横断的な対応を行っているのもフランスの家族政策の特長です。同政策の目的は6つ。出生率向上はその1つにすぎません。女性の雇用拡大、育児のための費用支援、貧困削減など目標は他にもあります。重要なのは6つの柱をどのように組み合わせていくかです。

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