日立の今期営業利益は前期比7.3%増計画 想定レート1ドル110円「成長の土台築けた」
[東京 12日 ロイター] - 日立製作所<6501.T>は12日、2018年3月期(国際会計基準)の調整後営業利益は前年比7.3%増の6300億円を見込んでいると発表した。事業再編に伴う利益の減少を収益性の改善でカバーする。
会社予想はトムソン・ロイターが集計したアナリスト16人の予測平均値6131億円を上回る。
事業別では社会・産業システムが前年比68.8%増の1300億円と大きく伸びる見通し。赤字プロジェクトの終息・撤退による改善や、鉄道・ビルの操業度の上昇が利益を押し上げる。
売上高に当たる売上収益は前年比1.2%減の9兆0500億円を予想。事業再編が下押し要因となる。
同社が注力するIoT(モノのインターネット)プラットフォーム「Lumada(ルマーダ)」関連の売上高は9500億円(前期9000億円)を計画している。
前提となる為替レートは1ドル110円、1ユーロ115円。
為替と事業再編の影響を除くと、売上高は前年比3%増、調整後営業利益は同15%増となる。
2017年3月期は売上高が前年比8.7%減の9兆1622億円、調整後営業利益は同7.5%減の5873億円だった。事業再編と円高の影響が売上・利益ともに圧迫した。この影響を除くと、売上高は前年比3%増、調整後営業利益は同13%増となる。
西山光秋・最高財務責任者(CFO)は「成長を生むための土台が築けてきた」と総括した。
<最終利益目標「こだわる」>
決算発表後に会見した東原敏昭社長兼最高経営責任者(CEO)は、中期経営計画の達成に向け、M&A(合併・買収)を強化する方針をあらためて示した。
同社は2019年3月期に売上収益10兆円(17年3月期9兆1622億円)、調整後営業利益率8%超(同6.4%)、当期利益4000億円超(同2312億円)という目標を掲げている。
東原社長は「2017年度からは成長へ向けてギアチェンジをしていく」と説明。「1兆円規模のM&Aで4000─5000億円の売り上げを確保したい」と語った。
ただ「トップラインにはそれほどこだわってはいない」とも述べ、売上高よりも利益を重視する姿勢を鮮明にさせた。
最終利益の確保については「最重要課題として取り組んでいきたい」として「4000億円にはこだわっていきたい」と強調した。
<南ア問題は真摯に対応>
日立は火力発電プラント事業を統合した三菱重工業<7011.T>から、南アフリカでのボイラー建設を巡って巨額の支払いを請求されている。
東原社長は「三菱重工からデータをいただいて、中身を精査して真摯に対応していく」と語った。
三菱重と日立は2014年2月に火力発電プラント事業を統合。三菱重65%、日立35%出資の「三菱日立パワーシステムズ(MHPS)」を発足させた。
三菱重は昨年3月、統合前に日立が受注した南アでのプロジェクトをめぐり、日立に3790億円を請求。今年1月には請求額を約7634億円に倍増させた。
*内容を追加しました。
(志田義寧)
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