日立の今期営業利益は前期比7.3%増計画 想定レート1ドル110円「成長の土台築けた」

拡大
縮小
 5月12日、日立製作所は、2018年3月期(国際会計基準)の調整後営業利益は前年比7.3%増の6300億円を見込んでいると発表した。写真の同社ロゴは、2012年10月都内で行われた記者会見場で撮影(2017年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 12日 ロイター] - 日立製作所<6501.T>は12日、2018年3月期(国際会計基準)の調整後営業利益は前年比7.3%増の6300億円を見込んでいると発表した。事業再編に伴う利益の減少を収益性の改善でカバーする。

会社予想はトムソン・ロイターが集計したアナリスト16人の予測平均値6131億円を上回る。

事業別では社会・産業システムが前年比68.8%増の1300億円と大きく伸びる見通し。赤字プロジェクトの終息・撤退による改善や、鉄道・ビルの操業度の上昇が利益を押し上げる。

売上高に当たる売上収益は前年比1.2%減の9兆0500億円を予想。事業再編が下押し要因となる。

同社が注力するIoT(モノのインターネット)プラットフォーム「Lumada(ルマーダ)」関連の売上高は9500億円(前期9000億円)を計画している。

前提となる為替レートは1ドル110円、1ユーロ115円。

為替と事業再編の影響を除くと、売上高は前年比3%増、調整後営業利益は同15%増となる。

2017年3月期は売上高が前年比8.7%減の9兆1622億円、調整後営業利益は同7.5%減の5873億円だった。事業再編と円高の影響が売上・利益ともに圧迫した。この影響を除くと、売上高は前年比3%増、調整後営業利益は同13%増となる。

西山光秋・最高財務責任者(CFO)は「成長を生むための土台が築けてきた」と総括した。

<最終利益目標「こだわる」>

決算発表後に会見した東原敏昭社長兼最高経営責任者(CEO)は、中期経営計画の達成に向け、M&A(合併・買収)を強化する方針をあらためて示した。

同社は2019年3月期に売上収益10兆円(17年3月期9兆1622億円)、調整後営業利益率8%超(同6.4%)、当期利益4000億円超(同2312億円)という目標を掲げている。

東原社長は「2017年度からは成長へ向けてギアチェンジをしていく」と説明。「1兆円規模のM&Aで4000─5000億円の売り上げを確保したい」と語った。

ただ「トップラインにはそれほどこだわってはいない」とも述べ、売上高よりも利益を重視する姿勢を鮮明にさせた。

最終利益の確保については「最重要課題として取り組んでいきたい」として「4000億円にはこだわっていきたい」と強調した。

<南ア問題は真摯に対応>

日立は火力発電プラント事業を統合した三菱重工業<7011.T>から、南アフリカでのボイラー建設を巡って巨額の支払いを請求されている。

東原社長は「三菱重工からデータをいただいて、中身を精査して真摯に対応していく」と語った。

三菱重と日立は2014年2月に火力発電プラント事業を統合。三菱重65%、日立35%出資の「三菱日立パワーシステムズ(MHPS)」を発足させた。

三菱重は昨年3月、統合前に日立が受注した南アでのプロジェクトをめぐり、日立に3790億円を請求。今年1月には請求額を約7634億円に倍増させた。

*内容を追加しました。

(志田義寧)

関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT