三菱電機、反対派の筆頭がIFRS導入のなぜ? 2011年、「IFRS強制適用」大反対騒動の結末
「あの三菱電機がIFRSへ移行するのか」ーー。上場会社の決算開示制度にかかわる専門家は報道を聞いて思わず、そう漏らした。
2月21日、三菱電機が2019年3月期の第1四半期から、決算開示上の会計基準を、従来の米国基準から国際会計基準(以下IFRS)に変更する予定であることを発表した。
IFRS強制適用を阻止した「要望書」
現在約3600社強ある上場会社のうち、IFRS適用済みの会社は105社、適用予定会社は36社あり、合計すると141社になる(3月31日時点)。
IFRSは2010年3月期から任意適用が可能になったが、日本電波工業が任意適用第1号に名乗りを上げて以降、適用会社数は増えず、2012年末の時点でも10社しかなかった。
が、2013年に入るとペースが上がり始め、2015年末時点で96社(前年末比44社増)、2016年12月末時点で129社(同33社増)に達し、今年は3ヵ月ですでに12社増となっている。
社数では全上場会社の4%にも満たないが、合計時価総額は全上場会社の2割を超えており、主要企業でのIFRS適用が着実に増えていることは間違いない。
それではなぜ「あの三菱電機が」なのか。三菱電機は「IFRS適用に後ろ向きな会社」と見られてきたからだ。
そのきっかけとなったのは、今から6年前、東日本大震災発生後の2011年5月25日、三國谷勝範金融庁長官(当時)宛てに提出された、「我が国のIFRS(国際会計基準)対応に関する要望書」である。
上場会社20社と未上場会社1社、それに日本商工会議所を加えた、21社1団体の連名で提出されたこの要望書は、自見庄三郎金融担当相(当時)に、2015年3月期からの事実上の強制適用について、政治判断で先送りを決断させるほどの効果を発揮した。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら