NTT、「IFRS導入」で浮かび上がる戦略の重点

会計基準変更で巨額の増益メリットを享受

自身の任期はグループが変わる過渡期と語る鵜浦社長。数年後を見据え会計基準も変える(撮影:今祥雄)

今年6月下旬に、就任5期目に突入するNTTグループ・鵜浦博夫社長が、3年先を見据えて手を打ち始めた。

持ち株会社のNTTを筆頭に、NTTドコモ、NTTデータなど、グループ各社は2019年3月期からIFRS(国際財務報告基準)を導入する。日本基準を採用する企業の場合、「のれん償却がなくなり、利益押し上げ要因になる」ことがIFRS導入の大きな誘因だ。

しかし、ニューヨーク証券取引所に上場するNTTは、米国SEC基準で決算をしており、米国基準はIFRS同様、のれんを償却しなくてよい。つまり、のれんの非償却はNTTにとって動機になりえないのだ。それではなぜ、IFRSを導入するのか。

4800億円の利益押し上げ要因に

表向きの理由は至って普通だ。会社側は「グローバル企業として、国際的に比較可能な財務情報の投資家への提供、国際的なビジネス活動の円滑な推進などが目的」としている。鵜浦社長は「買収によって海外子会社が増え、その多くはIFRSで決算をしている。それを米国基準に変換する子会社の負担が大きいため」と説明する。

ただし、それだけではない。体質強化や海外M&A戦略の拡大につなげようとする狙いも見えてくる。

NTTは今2017年3月期、将来のIFRS導入を理由に、減価償却方法をこれまでの定率法から定額法へ変える。IFRSの減価償却は定額法が大原則だ。毎期同じ額を償却する定額法と、毎期同じ率で償却する定率法では、5年償却の場合、3年目までは定額法のほうが償却額は少なくなる。これはNTTグループ全体で、今期4800億円の営業利益押し上げ要因になるのだ。

次ページ来期も3000億円台の増益要因に
ビジネスの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 最新の週刊東洋経済
  • 晩婚さんいらっしゃい!
  • ポストコロナのメガ地経学ーパワー・バランス/世界秩序/文明
  • 自衛隊員も学ぶ!メンタルチューニング
トレンドライブラリーAD
人気の動画
地方スーパーが撃沈「コスモス薬品」の破壊力
地方スーパーが撃沈「コスモス薬品」の破壊力
パチンコホール「ガイア」店舗撤退で大激変する勢力図
パチンコホール「ガイア」店舗撤退で大激変する勢力図
ネットで生卵がメチャメチャ売れる驚きの理由
ネットで生卵がメチャメチャ売れる驚きの理由
やる気を削がれる人と奮起する人の決定的な差
やる気を削がれる人と奮起する人の決定的な差
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
SDGsが迫る企業変革<br>ビジネスと人権

サプライチェーンの中で起きる人権侵害への意識が高まっています。欧米では法制化が着実に進展し、企業に対し人権リスクの把握と対策を求める動きが顕著に。欧米に比べて出遅れている日本企業の現状を多角的に検証します。

東洋経済education×ICT