ソフトバンク、「地味な好決算」に透ける課題 米スプリントに改善の兆しだが…
「事業を経営するというのは、非常に色々な困難もあるけど、非常に楽しい、やりがいのあることだなと思っている。特に昨今はスプリントの業績を改善することに相当な時間、集中している」――。ソフトバンクグループの決算会見は、孫正義社長のこんな言葉から始まった。
5月10日に発表した2016年3月期決算、売上高は9兆1535億円で前期比7.6%増収、営業利益は9994億円で同8.8%増益だった。一方、税引き前利益は1兆0057億円で17.1%減益、最終利益(親会社に帰属する当期利益)は4741億円で29.1%減益だった。前期に計上していたアリババグループの上場に伴うみなし売却益がないため、大幅な減益となっている。
米スプリントは改善の兆し
主力の国内通信事業は4.1%増収の3兆1446億円、セグメント利益は7.5%増益の6883億円。2015年3月に開始した光回線サービス「Softbank 光」が順調で、ブロードバンドサービスを大幅に伸ばした。スマホは出荷台数が減ったものの、単価上昇で影響を吸収した。また、販売手数料や販促費も増えたが、前期に計上していた固定通信サービスの受注損失引当金(212億円)がなく、増益となっている。
改善の兆しが見え始めたのは米国携帯大手のスプリント。同事業は1.9%増収の3兆8716億円、セグメント利益は8.0%減の614億円だった。
ドルベースの売上高は6.8%減収の321億ドル、利益は21.3%減の5億ドル。減収要因はリース・割賦による端末販売方式の導入に伴い、販売台数が減少したことや、低料金の通信料金プランへの移行が進んだこと。減益要因は、リース携帯端末の増加により償却費が増えたこと、人員削減や訴訟関連費用積立金、固定資産の減損で計796億円の営業損失を計上したことによる。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら