ソフトバンク、「地味な好決算」に透ける課題 米スプリントに改善の兆しだが…

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――携帯電話のプリペイド契約数について、孫社長は「スプリントが米国大手2社に勝った」と言ったが、「Tモバイルの独り勝ち」が実態では。

そうですね。認めます。くやしいです。立派ですよ、Tモバイルは。敵ながらあっぱれ。さすが一時買収したいと思った会社だな、買収できてればよかったなと思う。

――スプリントは過去2四半期の純増数が四十数万件で低迷している。

競争が激しいですよね。(業界2強の)ベライゾンもAT&Tも負けないように頑張っている。ただ、中身がよくなっている。以前はプリペイドやタブレットなどの儲からないところで一生懸命、顧客を取っていたが、マルセロCEOの体制になってからは、信用の低い顧客は審査を厳しくして、なるべく取らないように方針転換している。

――スプリントの設備投資は今期30億ドルという低水準だが、時間がもったいない。前倒しにならないのか。

私がチーフネットワークオフィサー(ネットワークの責任者)を自ら務めていますから、スローダウンすることはありえない。投資金額が小さくなっているのは、 効率のよい機器を選び、効率のよいネットワーク設計をしているから。数は今まで以上に投資する。機器メーカーとの価格交渉は、ソフトバンクモバイルとの合計で厳しく交渉している。

同業他社も怖がるような最先端の技術とコストパフォーマンスのものに早め早めに取り組んでいる。だから金額が小さいように見えているだけだ。

――5000億円の資産売却をするということだが。

ほんの一部の資産を売却する、入れ替えをするということはあるだろうが、積極的な投資を続けていくことに変わりはない。

実質ゼロ円の影響はないのか?

――スプリントの企業価値をゼロと仮定しても、今の時価総額はソフトバンクの企業価値の3分の1に過ぎない。このことをどう思うか。

日本にはタイムラグがある。成功の後に評価がついてくる。だから、待てばいい。遅かれ早かれ(市場がソフトバンクを評価する)時は来る。

――端末代金を大幅に割引する「実質ゼロ円」が規制されたことによる、販売現場や商品ラインナップへの影響は。

国内では端末の回転率が下がり、ユーザーが少しでも長く使うサイクルに入っている。われわれにとって大事なのはユーザー数。1ユーザー当たりのスマホを使う度合いを上げて、サービス収入を上げることが大事だ。

実質的な業界規制は国によって色々ある。私は批判する立場ではない。日本も色々な体験をしていくべきなのだろう。ただ、世界の先進国中にあって、日本の通信料金は本当に高いのかな?あまり高くないのではないかな、という気がしてならない。ちなみにソフトバンクは、ワイモバイルで低価格の通信料金を率先してやってきた。

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