NTT、「IFRS導入」で浮かび上がる戦略の重点

会計基準変更で巨額の増益メリットを享受

しかし、話はこれで終わらない。NTTは将来を見据え、今期4600億円を費用計上する予定だ。どういうことなのか。その中身は2つある。

一つは旧世代の通信設備を通常よりも速く償却する「加速度償却」。税金を余計に払ってでも、早期に処理する方法だ。これは、4800億円の余裕があるうちに手を打つことで、将来の償却負担を減らす狙いがある。

もうひとつは、通信設備の「未償却残価(10%分)の償却」である。こちらは、定率法だとどうしても残ってしまう未償却の資産を、IFRS導入前に償却するというもの。そうしなければ、IFRS移行時に減損というマイナス要因として、のしかかりかねないからだ。いずれも移行前に不安の芽をつぶす、鵜浦社長の深謀遠慮が見え隠れする。

来期も3000億円台の増益要因

さらに鵜浦社長は、4600億円の枠について「すべて使うとは限らない」ともしている。NTTの今期営業利益計画は前期比820億円増の1兆4300億円。同社は最低線の数字としているが、仮にこれを下回りそうな場合、いくらかを翌期以降に持ち越し、何としてでも増益を確保する構えだ。

鵜浦社長と同時に就任したドコモの加藤薰社長(左)は6月で退任する(撮影:梅谷秀司)

ちなみに、定額法への変更による4800億円の増益要因の大半は、残価10%の資産を多く抱えるNTT東日本とNTT西日本が占める。次に多いのはドコモで2000億円。ドコモは1500億円の前倒し償却を今期実施する。NTTデータは、償却が4年目以降となる設備が多いため、定額法への変更メリットはないとしている。

定額法の恩恵は来期も続く。来2018年3月期は今期ほどではないとはいえ、なお3000億円台の増益要因となる。どれほどの費用計上となるかは未定としているが、来期も今期同様、体質強化策を打つ可能性は十分ある。

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