英国で「新幹線」がSLを従えて走行したワケ 日本では見られない複々線4列走行が実現
鉄道発祥の国・英国で組み立てられている日立の高速鉄道車両「クラス800」。来年には営業運転が開始される運びで、すでに本線上での試験が繰り返し行われている。日本製の列車で行く英国の鉄道旅は今よりもずっと快適なものになるだろう、と現地でも大きな期待が寄せられている。
そんな中、英国立鉄道博物館があるイングランド北部のヨークで4月23日、「日立の新幹線」がSL列車をはじめとする歴代特急車両と共に並んで走る催しが実施された。
「過去、現在、未来を代表する4世代の列車が並んで走る、一生に1度のイベント」と位置づけられたこの催しは、ロンドンとスコットランドを結ぶ鉄道の大動脈・東海岸線(イーストコーストライン)の本線に敷かれた複々線を使って、4本の列車を同時にヨーク駅に向かって走らせるという大掛かりなものとなった。
英国での愛称は「あずま」
クラス800は、現在英国を走っている老朽化した長距離列車車両を更新するIEP(都市間高速鉄道計画)に基づいて造られている。日立が受注した866両のうち、山口県下松市にある同社の笠戸事業所で100%製造されるのは76両。残り790両はボディや台車の核となる部分を笠戸で造り、イングランド北東部のニュートンエイクリフ工場で最終的に組み立てられる。さる3月には、下松市内を英国向け高速車両が昼間に運ばれるイベントが催され、3万人もの観衆を前に、今年秋からウェールズ方面を走る深緑色の車両が披露された(「英国の新幹線」が日本の道を昼間走った理由)。
その1年前となる2016年3月には、同じくクラス800の採用を決めている運行会社ヴァージントレインズのカラーリングで、笠戸から運び込まれた車両が初公開され、2018年の運行開始に向け試験走行が続いている。ヴァージンは東海岸線(ロンドン―スコットランド・エディンバラ間)にクラス800を投入することから、東海岸線の「東」にちなんで、同型車両の愛称は「AZUMA」と名付けられた。車体にはひらがなで「あずま」と書かれている。日本語が愛称になるのは日本人として誇らしい気持ちになる。
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