フランスが最新型高速列車を導入しないワケ ドル箱の高速鉄道が抱える課題とは

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LGV南東線で頻繁に見られる、2編成併結列車。1編成の定員が545名のTGV-Duplexの場合、併結運転で最大1090名を運ぶことができる(写真:筆者撮影)

約64万1000平方キロメートルの広大な国土に、3万キロメートルに近い鉄道路線網を持つフランス。欧州において隣国ドイツと常に双璧を成し、何かと色々な面で比較されるライバル同士として語られる両国は、鉄道技術においても常に欧州をリードする存在だ。

英国に次いで古い歴史を持つフランスの鉄道は、1828年に開業以来、いくつかの民間会社により運行されてきたが、1938年に当時の政府が国策として鉄道の国有化を実施し、フランス国鉄SNCFが誕生した。第2次大戦終結後の1946年当時、3万7000キロあった路線網は1970年代までに約3万キロまで減少したが、その後は大きく変わることなく、2013年時点で2万9776キロの路線を維持している。

1997年にフランスは鉄道の上下分離を実施し、インフラ設備などはSNCFから独立し、新たに設立されたフランス鉄道線路公社RFFにすべて移管。SNCFは鉄道輸送事業のみを担当することになり、その中でさらに4つの部門(長距離輸送/パリ首都圏輸送/地域輸送/貨物輸送)に細分化された。だが、2013年にSNCFとRFFが再統合され、資産を保有管理するSNCF RÉSEAUと、列車運行など実際の運営を行なうSNCF MOBILITÉSの2組織が、SNCFという大きな傘の下に収まる形で再出発を切った。

高速鉄道網は2000キロ超

1980年代以降の鉄道政策は、高速鉄道網整備に主眼を置いている。1981年には、フランス国内初の高速列車専用線(Ligne à grande vitesse:LGV)となる南東線が開業。同国初の高速列車TGVにより、当時の世界最速となる時速260キロでの営業を開始した。最高速度はすぐに時速270キロまで引き上げられた。

その後も最高速度300キロのLGV大西洋線、北ヨーロッパ線などと高速列車専用線の開業は続き、パリを中心とした放射状の高速鉄道路線網を拡大していった。2007年に開業したLGV東ヨーロッパ線では、現時点で世界最速となる時速320キロ運転が行われている。2016年現在、営業中のLGV路線延長は2024キロで、2017年にはトゥール-ボルドー間302キロを含む、およそ800キロの新たなLGV路線開業を予定している。

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