異例の東電トップ人事、改革めぐり火種残す 「顔」が去り、役員の平均年齢は7.5歳も若返り
福島第一原発事故への対応に追われる東京電力ホールディングスで、異例のトップ人事が決まった。
5年にわたって会社を率いてきた廣瀬直己社長に代わり、53歳の小早川智明取締役(東京電力エナジーパートナー社長)が6月の株主総会後に社長に就く。新会長には、日立製作所の経営改革で手腕を発揮し、経済産業省が設置した「東京電力改革・1F問題委員会」(以下、東電委員会)のメンバーを務める川村隆・同社名誉会長が就任する。
次期社長の小早川氏は、かつて主流といわれた総務や企画の経験がない反面、法人営業の経験が長い。「新電力との競争の厳しさを知り、東電では数少ない改革マインドを持った人物」(経産省幹部)と見なされている。
役員平均年齢は約53歳
世代交代を狙った大規模な若返り人事には、社内でも驚きの声が上がった。石崎芳行副社長(福島復興本社代表)や姉川尚史常務(原子力・立地本部長)など各部門の“顔”が相次いで退任。社内役員の平均年齢は60.2歳から52.7歳へと7.5歳も若返る。
こうした若返り人事のレールは、東電の大株主である国や、JFEスチール出身の數土(すど)文夫会長ら社外役員が敷いたものだ。4月3日の記者会見で數土氏は経産省の東電委員会が昨年12月に公表した提言を引き合いに出し、「その骨子は次の若い世代に経営を移譲して、非連続の改革に取り組むべしということだった」と強調した。
しかし、国のお墨付きを得て決定した若返り人事には不安も付きまとう。
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