震災6年、福島原発の廃炉作業は「登山口」だ 燃料デブリ取り出しへの遠い道のり

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大破した福島第一原発の3号機建屋。水素爆発の傷跡が生々しい(代表撮影)

10万人以上もの住民が避難を強いられた原発事故から6年を迎えた。

東京電力ホールディングス・福島第一原子力発電所では、敷地内の放射線量低減など作業環境の面で大きな改善が見られ、汚染水対策も進捗した。その一方で「廃炉の核心部分」とされる原子炉の炉心から溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)のありかはいまだに判明していない。賠償や除染、廃炉にかかる費用は20兆円を上回るとの試算も昨年末に政府から示された。廃炉を終えるまでの期間は40年ともそれ以上ともいわれるが、はたして廃炉作業自体を成し遂げることはできるのか。

記者は2月14日に合同取材に参加して福島第一原発に立ち入り、廃炉に向けての成果と課題を確かめた。

線量低減で前進、装備の簡素化を実現

放射線量が表示されたモニター(代表撮影)

ここ1~2年の間に大きな前進が見られたのが、敷地内の線量低減対策だ。福島第一原発では作業員が出入りする大型休憩所など構内のあちこちに大きなモニターが置かれ、敷地内の線量分布が一目でわかるようになっている。

目を引いたのが、モニター画面に表示された「1」「2」など1ケタの数字だ。それぞれ空間放射線量が毎時1マイクロシーベルト、2マイクロシーベルト程度であることを意味している。敷地内でも、原子炉建屋から比較的離れた場所では、福島県大熊町の市街地など原発敷地外とほぼ同じレベルの放射線量まで低減できたことがわかる。その結果、実現したのが装備の簡素化だ。

取材に際しての服装は軽装になった(代表撮影)

福島第一原発では2016年3月に装備の簡素化を実施した。敷地の大半を占める「G(グリーン)ゾーン」と呼ばれるエリアでは、一般作業服や簡易マスクでの作業ができるようになった。

今回の取材も、防塵マスク、構内専用のベストとい軽装備で行った。昨年2月の取材時の全面マスク、カバーオール(タイベックスーツ)と比べても格段に動きやすくなった。

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