震災6年、福島原発の廃炉作業は「登山口」だ

燃料デブリ取り出しへの遠い道のり

溶接型タンクへのリプレース作業(H4タンクエリア)(代表撮影)

バスは電気室を後にして、「H4タンクエリア」に向かった。ここは過去に汚染水漏洩事故が起こった場所だ。現在、汚染土壌の除去やタンクの解体・リプレース作業が進められている。

福島第一原発の敷地内に林立する汚染水をため込んだ約1000基ものタンク群。その様相は変わりつつある。原発事故直後に建設されたボルト締めで水漏れのリスクが高い「フランジ型タンク」は解体が進み、同タンクの2倍以上の容量で安全性の高い「溶接型タンク」に取って代わられつつある。事故直後に緊急対策として全国からかき集めた「横置きタンク」もすでにその役目を終え、解体を待っている。

役目を終えた横置きタンク(代表撮影)

タンクの解体作業は、ベータ線を発する汚染水が皮膚に付着して被曝するリスクを伴う。そのため、作業員は防護服に身を包み、全面マスクを装着することが義務づけられている。細心の注意を必要とする作業が続けられている。

H4タンクエリアを後にしたバスは、すでに使用済み燃料の取り出しを終えた4号機の前を通り、その後、2号機と3号機の間を通過した。

4号機の前で毎時20マイクロシーベルトだった線量計の値は、3号機の前まで来ると120マイクロシーベルトに上昇。2号機の近くでは300マイクロシーベルトまでハネ上がった。バス車内でもこれだけの線量がある。この近辺での長時間の作業がいかに困難であるかを認識できた。

5号機格納容器内部に立ち入る

今回、記者が初めて足を踏み入れたのが、5号機の格納容器内部だ。

5号機の作業用貫通孔(X-6ペネ)(代表撮影)

5号機も全交流電源を喪失したが、事故直後に6号機の非常用ディーゼル発電機から電源融通を受けて、危機脱出に成功。炉心溶融を免れたため、東日本大震災以前からの原形をとどめている。

前述したように、東電では2号機格納容器内部にカメラや自走式ロボットを投入した。5号機は2号機と構造がほぼ同じであるため、その作業内容を理解するうえで内部に立ち入ることができたのは収穫だった。

格納容器内部の制御棒駆動機構交換用レール(代表撮影)

5号機の原子炉建屋内には、高さ34メートル、直径20メートルのフラスコ型の格納容器が据え付けられている。その格納容器には作業で使用するための貫通孔がいくつもある。2号機の格納容器内部調査では、その一つである「X-6ペネ」と呼ばれる貫通孔に穴を開けてパイプを挿入し、カメラや自走式のロボットを投入した。今回、同型の5号機でX-6ペネの実物や、制御棒駆動機構(CRD)交換用レール、プラットフォームと呼ばれる原子炉圧力容器真下の作業床やCRDそのものをこの目で確かめることができた。

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