共働き育児が「綱渡り」を脱するための3段階 これができたら会社でも立派なリーダーだ

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浜屋:本当に、子育ては「こうしたほうがいいのかな?」と実験を繰り返すようなところがありますよね。考えてみれば、子どもという「初めて出会った人間」をもともと他人だった同士で育てているわけですから、最初から何もかもスムーズに進めるなんて、どう考えても無理がある(笑)。

中原:そうそう、夫婦といっても他人同士ですからね。だからこそ、メッセンジャーなんかで送る「何か買って帰るものある?」とか、「から揚げ買って帰るね」とか、ちょっとした声かけみたいなことが重要なんだと思います。自戒を込めて。

情報の共有は、チーム育児の基本

『育児は仕事の役に立つ』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

浜屋:育児情報の共有はチーム育児の基本ですね。わが家は、その声かけを怠ったがために、両方がから揚げを買って帰り、から揚げ祭り、鶏まみれになったことがありました(笑)。よかったです、失敗したのがから揚げ程度で……。

あとは、月並みですが、「ありがとう」の一言はやっぱり大事ですよね。チーム育児をうまく行っている方々にインタビューした際、「最後に共働き育児を行っていくうえで、大事なことをひとつ教えてください」とお願いしたところ、ほぼ全員に共通して「感謝すること」という答えが出てきました。ちなみに、ほかに挙げられた言葉としては、「思い切り(やらなくてもいいことを決める)」「夫婦の意識共有」「タスクを抱え込まない」などがありました。どれもチーム育児の大事な要素です。

中原:そういうこまやかな心遣いができる人は、職場でも間違いなくマネジャーとして優秀ですよ。小さなことですが、日々のコミュニケーションの積み重ねがチームを支えているのだと思います。

浜屋:そうですね。そして、「ふりかえる」「見なおす」「やってみる」のサイクルを1回やっておしまいじゃなく、繰り返していく中で好循環が生み出され、チームとして成熟していくのだと思います。

浜屋 祐子 研究者

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はまや ゆうこ / Yuko Hamaya

国際基督教大学教養学部卒業後、企業勤務を経て、東京大学大学院修士課程修了(学際情報学)。現在は経営教育事業に携わるとともに、はたらく大人の学びに関する研究を続けている。著書に『アクティブトランジション働くためのウォーミングアップ』(共著、三省堂)、『人材開発研究大全』(共著、東京大学出版会)がある。

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中原 淳 立教大学経営学部教授

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なかはら じゅん / Jun Nakahara

1975年北海道生まれ。「大人の学びを科学する」をテーマに、企業・組織における人々の学習・成長・コミュニケーションについて研究。立教大学経営学部教授。同大学ビジネス・リーダーシップ・プログラム(BLP)主査、リーダーシップ研究所副所長。著書に、『経営学習論』(東京大学出版会)、『会社の中はジレンマだらけ』『育児は仕事の役に立つ』(ともに共著、光文社新書)など多数。

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