検索時代が生んだ「婚活難民」の果てなき迷走

誰にでも出会えるから、誰とも結婚できない

そのオプションプログラムの内容に、私は思わず仰天してしまった。現役ナースと食事をして女性のエスコートの仕方や食事のマナーを学ぶ「ナースのフィードバックディナー」や、AV女優やAV男優が“女性をどうやったら喜ばせることができるのか”を講義してくれる「性教育の学校」など。彼はなんと、その2つのオプションを申し込んだという。

「20万、30万、50万と、どれもいい値段だったんですが、ローンやリボ払いならなんとかなると思って申し込んでしまいました。でも、そのうち1カ月の給料では払いきれなくなって、貯金を切り崩すようになったんです」

そんなとき、友達から“絶対に損をすることはない”という投資話を持ちかけられた。目減りしていく貯金をなんとか元に戻そうと、その投資話に乗った。しかし儲かるはずもなく、逆に借金を背負ってしまった。

その結果、彼は現在、昼間は会社で働き、夜は会社には内緒で警備のアルバイトをし、借金返済に追われる日々を過ごしているという。

「もう婚活資金もないし、結婚なんて考えられない状態です」

「検索できる」時代が結婚をかえって難しくした

ネットが普及して、スマホやPCがあればどこにいても簡単に欲しい情報が好きなだけ取れる時代になった。婚活の方法も、検索をすれば結婚相談所、結婚情報センター、婚活アプリ、婚活パーティと自由自在に選べる。学びたい講座や塾も、キーワードを入れれば簡単に検索できる。

このネット社会の便利さが、婚活を複雑化し、結婚をかえって難しいものにしてしまったのではないだろうか。

お見合いが庶民に広まったのは江戸時代からだといわれているが、昭和初期までは“お見合い=結婚”という図式だった。年頃になると親や親戚筋が決めた相手とお見合いをし、それが婚姻となった。

私の話で恐縮だが、大正生まれの亡き祖母は、20歳を越えた頃に母親から、「橋のたもとに行ってごらん。そこに立っているのがお前の旦那さんになる人だよ」と言われ、そこに歩いて行き、私の祖父になる男性と初めて話をしたという。そして結婚をし、生涯を添い遂げた。

戦時中は写真を交換して婚姻し、そのまま1度も会うことなく夫が戦地に赴き、戦死して寡婦になったという話もあったくらいだ。

親や教祖や他人が決めた相手と結婚するのがよいとは思わない。人生を共に歩む伴侶は自分で見つけ、自分の意思で結婚の決断を下せる社会のほうが健全だ。

ただし、選択肢がなく、決められた相手と結婚した人たちが不幸だったかというと、そうではないだろう。そうした人たちは、伴侶の嫌なところには目をつぶり、いいところを探しながらささやかな幸せを見いだし、日々の暮らしを紡いでいったのではないか。

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