康司(38歳・仮名)が、面談に来た日のことを、今でも鮮明に覚えている。待ち合わせの時間には、すでにソファに座って私を待っていた。
「はじめまして。角田康司と申します」
私を見つけるなり、立ち上がって言った。
男性の身長にこだわらない女性は、意外と多い
立ち上がった康司の背丈は、身長151センチの私とさして変わらなかった。そのとき私は5センチのヒールを履いていたので、康司のつむじが見えた。
お見合い会員として協会に登録している男性たちを見ると、背が160センチ台前半の小柄な人が意外と多い。ではその人たちはお見合いが組めないかというと、そんなことはない。それよりもマッチングするときに大事なのは、年収、年齢、顔だ。男性の身長にはこだわらない女性が意外と多い。だが150センチ台となると、どうなのだろうか。
いやいや、待て。L’Arc-en-Cielのhydeさん、T.M.レボリューションの西川貴教さんは、身長が150センチ台だが、無類のイケメンであり、音楽の才能に恵まれているので、女性にはモテモテだ。
そのほか150センチ台、もしくはもっと小さい芸能人で有名なのが、なべやかんさん(153センチ)、猫ひろしさん(145センチ)、池乃めだかさん(149センチ)などだが、3人とも結婚をしている。背が低いからモテない、結婚できない、とは必ずしも言えない(はずだ)。
が、しかし。康司の場合は加えてコロコロと太っていて、メガネの奥にのぞく目は糸のように細かった。「う〜〜ん、大丈夫か!? 彼を預かって、私は彼を結婚させることができるのか?」。
そんな不安が一瞬よぎった。こうして始めた面談だったが、話しているうちに迷いは消えた。
「彼なら、イケる。結婚できる」
そして、その日から約10カ月後、私の予想どおり彼はめでたく成婚退会をしていった。
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