テレビが勘違いしている視聴者ニーズの現実 視聴率至上主義、似た番組ばかりで「誰得?」

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もう1つ、テレビ朝日が視聴者のニーズから離れ、不信感をジワジワと募らせている番組編成があります。それは「名ばかりのレギュラー番組」と「長時間特番風の抱き合わせ」。たとえば、月曜21時~の「クイズプレゼンバラエティーQさま」は、まだ今年7回しか放送されず、その半数以上が別番組を抱き合わせた3時間番組であり、本来の21時から放送されたことはありません。単に番組をつなぎ合わせただけなのに「特番」とうたっていることに、視聴者たちは不満を募らせているのです。

しかもこのような傾向は月曜だけでなく、火・水・土・日曜にも見られます。つまり、視聴者にとっては、「テレ朝の番組はいつ放送されるかわからない」「録画すると、見たくない番組も同時に録画されてしまう」などのデメリットがあるということ。「好きなときに、好きなものを、最初から楽しむ」のが当たり前の現代人にとって、この状態はニーズに応えているとはいえないでしょう。

バラエティのさじ加減を間違えるTBS

3番目は、このところ視聴率が上昇し、日本テレビを追う態勢が整いつつあるTBS。春の改編は、ここでみなさんに説明しておくべきものがないくらい少なく、「番組を変えるのではなく、番組内のコーナーを強化する」という方針が見られます。

振り返ると、TBSは2000年代に「バラエティもドラマもうまくいかない」絶不調の時期がありました。その後、2010年代に入ってから徐々に回復が見られ、「追う者の強み」として思い切った策を敢行。たとえば、「ニンゲン観察バラエティ モニタリング」を異例の2時間レギュラー番組にして、しかもテレビ業界ではタブーとされていた“21時またぎ”の20~22時放送にした結果、成功を収めています。

また、視聴者からの苦情が出やすくなり、コンプライアンスへの配慮が求められるなど、表現の幅が狭くなる中、「1980~1990年代よりテレビがつまらなくなった。何とかしてほしい」という視聴者ニーズに応えるべく、孤軍奮闘。悪ノリをベースにした「水曜日のダウンタウン」、悪口を吐きまくる「クイズ☆スター名鑑」(終了)、バカの度合いを競い合う特番「オール芸人オールスター謝肉祭」など、“攻めた”番組を作り続けています。

ただ、「爆笑をさらう」ことがある反面、「さじ加減を間違えてトラブルを連発している」のも事実。個別の内容は省きますが、前述した「水曜日のダウンタウン」「オールスター謝肉祭」に加え、「珍種目No.1は誰だ!? ピラミッドダービー」「マツコの知らない世界」なども、BPO(放送倫理・番組向上機構)絡みのトラブルに発展するなど、視聴者ニーズとは別次元の行き過ぎた演出も少なくありません。

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