柴又の葛飾区職員寮が「寅さんホテル」に変身 1泊4000円から!不要な官舎は稼ぐ施設に
予算は多くないので、既存の建物の質感を残しつつリノベーションし、ベッドの部屋もあれば畳の部屋もある、さらに映画も見られるようなシアターも併設され、地元の人が集えるコモンルームもあるという施設にしました。これが3月18日にオープンした宿泊施設「柴又ふーてんベッドアンドローカル」です。「男はつらいよ」とは直接関係ありませんが、価格もリーズナブルで、オープン翌日に見に行くと満室でした。
意外に国の緩和は進んでいる! 気づいた自治体は成功
野尻:私も足を運んでみましたが、「これははやるな」と感じましたね。馬場さんたちが手掛けたから、もちろんクリエーティビティに富んでいるんですけど、もう1つ感じたのは行政がすてきだなということです。葛飾区が民間に任せきったから、こういうクリエーティブなものができたんだと思うんですね。
馬場:国ではなく区という小さなサイズの自治体が主体だったということもあると思いますが、葛飾区には勇気がありました。
野尻:前回のこのトークイベントでも触れましたが、今は国がけっこう規制緩和している部分もあるのに、自治体のほうはそれを知ってか知らずか、そこをうまく利用しきれていないんですよね。でもそのやり方に気づいた自治体は、もう積極的に動きはじめていて成功事例も出ている。
木下:こういう場合、民間に「委ねきる」というのがとても大切なんですよね。日本の行政はまだこのようなやり方に慣れていません。何しろ、これまでは自分たちで仕様をきめて、予算をつけて民間にやらせてきましたから。
しかし今度は財政も厳しい昨今、民間に仕様から全て民間に提案してもらい、お金を出してもらって、さらに民間に運営までやってもらおうとしているのに、いちいち口を出してしまう。委ねるというのが何か悪いことのように思っていたりする。
だから「ここはやってほしいんだけど、ここから先は民間にはやってほしくない」なんて言い始めると中途半端な話になってしまう。結果、官民双方にとって価値のない計画になり、頓挫することも少なくないですね。過去からの頭の切り替えが必要です。もちろん、民間側も公共意識は大切ですよ。
馬場:いろいろな事例を見てきたけれど、建物ごと民間に貸し出すというのがいちばんシンプルで強いという印象です。行政の責任部分をしっかり果たして、「じゃあここから先は民間に任せます」という形が作れれば、行政も安心して委ねられるはずですよね。
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