柴又の葛飾区職員寮が「寅さんホテル」に変身 1泊4000円から!不要な官舎は稼ぐ施設に
公務員宿舎や旧国有企業の官舎の数は膨大
――官舎・公共住宅の活用について考えてみたいと思います。海外を見てみると、実はすでにアジアにいくつもあるのです。たとえば香港の「PMQ」。警察官用の官舎を、歴史的建造物を残しつつリニューアルし、おしゃれなショップが集結するショッピングセンターに生まれ変わっています。またベトナムでも、米軍が使っていたアパートメントが、カフェが10軒以上入居するビルとなった事例などもあります。
一方、日本国内を見ると、財務省が保有する国家公務員宿舎は2011年時点で21万8000戸もあります。現在、国はこれを25%削減する計画を進めていますが、これに旧国有企業が持っている宿舎も「官舎」と考えるとまだ膨大な戸数があります。野尻さんは、郵政宿舎の再利用を提案された経験をお持ちですね。
野尻:東京都の渋谷区の案件ですね。渋谷区でホテルを開発していることもあり詳しくなりましたが、空いている官舎がいくつもあり、その中に恵比寿西の郵政宿舎がありました。そこで渋谷区の区長さんに「一緒に開発してみませんか」と声をかけてみたのです。
区長さんは「区が抱えている課題を解決するような利用法にしたい」という希望を持っていました。つまり託児所や障害者の作業所、そしてシルバー層が活躍できる場などが1カ所でできないかというのです。そこで区と一緒に考えて、建物の1階には託児所と障害者の作業所を入れて、2~4階はバンクベッド(2段ベッド)を置いた低料金の宿泊施設にすることにしました。2020年の東京オリンピックを考えると、東京のホテル不足は深刻ですので、それに対応するためです。
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