教育大国アメリカはローン地獄に悩んでいる

対照的に日本は教育まで「デフレ」だ

借金膨張の背景にあるのは、大学の学費の高騰だ。米国では、ハーバード大学をはじめとする有名校は私立が圧倒的に多いが、これらの大学の学費は年間400万~500万円とべらぼうに高い 。

さまざまな奨学金や学費の割引制度はあるものの、これに下宿代や参考書代が上乗せされるため学生の負担は大きい。

私大の学費は20年前には米国と日本で大差なかった。しかし、この20年間で米国の私大の学費は2.8倍にハネ上がり、上昇率が年1%にも満たない日本の学費の5倍になっている。これほどの格差は物価上昇率の違いだけでは説明できない。

米国は学費も授業の質も高い

授業料高騰の背景はさまざまだ。理工系学部の設備は高度化しているし、少人数制の双方向の授業形式のため学生当たりの教員の数も多い 。たとえばハーバード大やイエール大学では学生4人につき1人の教員がいるのに対し、日本の国立大学のトップは6人に1人の割合である。日本の私立大の包括的なデータはないが、教員数はさらに少ないといわれている 。

加えて教員の給料も上昇している。有名教授は大学間の争奪戦になるためだ 。学部によっては教授の年収は数千万円に上る。日本の有名私立大の教員の年収は1100万~1300万円。国内の平均給与よりは高いが、米国よりはるかに低く、給与格差も小さい。

米国では、こうした少人数制によって、あのマイケル・サンデル教授の「白熱教室」並みの、教授と学生の双方向の授業が一般的である。そのような濃密な授業に備えるため、米国の学生は勉強で毎日忙しく、学外でアルバイトをする余裕はない。1週間当たりの授業の予習時間は米国の13.3時間に対し、日本では5.7時間だ(2016年の名古屋大学の調査による)。

米国ではまず存在しない「まったく勉強しない」という学生も、日本には1割程度存在する。その一方で、日本の学生は、アルバイトに学習時間の2倍近くの時間を費やしている。

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