3月26日の大相撲春場所の千秋楽、横綱稀勢の里による涙の大逆転。全治1カ月の重傷にもかかわらず戦い抜いた。あきらめない強い気持ちと勇姿は日本中に感動を与えたといえよう。翌週4月1日のフィギュアスケート世界選手権では、羽生結弦選手が見事なフリープログラムの演技により歴代最高得点で、ショートプログラムの5位から大逆転で優勝をもぎ取った。フリーの得点発表時の羽生選手の雄たけびの姿は、大和魂が炸裂したものだった。スポーツ界では2週連続で日本選手が大活躍、それも大逆転だ。両者の心意気こそ、今の日本企業に求められているものだろう。
3月24日にオバマケア代替案が撤回されたのを受け、米国トランプ政権の政策実行力に不安感が漂っている。ドル円は1ドル=110円割れを懸念されつつもまだ割れていない。まるで土俵際で踏ん張った稀勢の里関のようだ。このように踏みとどまって切り返す相場を、筆者は"稀勢の里相場"と名付けたい。
米国のアニマルスピリッツは健在
その一方で、米国10年債の金利は3月の利上げ決定をこなした後も、昨年12月中旬以降、2.3~2.6%のレンジにとどまっている。筆者は米10年債金利の上昇をトランプ相場の起点と考えている。だが、FRB(米国連邦準備制度理事会)が慎重なペースでの利上げ、年内のバランスシート縮小検討へと出口戦略を進めていく意向にもかかわらず、10年債利回りは2.3%割れの水準をうかがう展開だ。
これは季節要因もあり、国内勢が3月の年度末対策(3月決算のための処分売り)の一巡後、新年度入りで打診的な買いが出ていると推察される。先行きの利上げ継続(年内あと2回)の前提が変わらない状況下、買い進むには限度があると、筆者は見ている。
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