投球数制限があるのに肘の故障は増えている 本場アメリカの子ども達の環境の過酷さ
肘の靱帯再建であるトミー・ジョン手術。野球好き以外には聞き慣れない言葉かも知れないが、ダルビッシュ有や松坂大輔、古くは村田兆治などが受けている。かつては成功率1%とも言われたが、現在は8割近くが復帰に成功している。
野球投手の「腕」の故障に関する問題を検証
本書『豪腕 使い捨てされる15億ドルの商品』はトミー・ジョン手術を中心に米国や日本の野球投手の「腕」の故障に関する問題を検証しているが、その背景にあるのは、野球界に限らず抱える古くて新しい課題だ。問題の解決手法が見出されていない場合、人はどのようにして立ち向かうか。科学か伝統か、事実か信条か。
772球。2013年春の選抜高校野球大会。済美高校の安樂智大が9日間5試合に登板し、投げた球数だ。日本のプロ野球選手が100球程度で中5日で登板することを考えれば、その球数の多さが際立つ。
国内ではその鉄腕ぶりが感動を呼んだ一方、国外には「子どもへの虐待」との指摘もあった。安樂はその後、右肘を故障しながらも(トミー・ジョン手術は受けていない)、プロ入り。復活途上にあるが、高校時代に最速157キロのストレートで相手をねじ伏せた姿は戻っていない。
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