「イヤホンランナー」が認識すべき危険と迷惑 聞きながら走る人が4割という大変な事態

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トップレベルの選手で音楽を聴きながらレースに出場しているというのは見たことがない。実際、陸上競技のルールでは、音楽を聴きながらの走行は“グレーゾーン”だ。

競技会の一般規則第144条によると、「ビデオ装置、レコーダー、ラジオ、CD、トランシーバーや携帯電話もしくは類似の機器を競技区域内で所持または使用すること」は助力とみなされ、許可されていない。即失格になることはまずないとはいえ、米国ではイヤホンの使用を規制していた大会もあったほど。国内でも大会によって異なるが、長野マラソンでは「イヤホンを聴きながらの走行は危険ですのでご遠慮ください」とプログラムに記してある。レースに出場する際には注意していただきたい。

自然を感じる機会も逸する

好きな音楽を聴いて走るのが趣味という人はともかく、退屈しのぎに音楽を聴いているというランナーも多い。そこで、なんのために走っているのか思い出してみよう。

ダイエットが目的でいやいや走っているなら、音楽の力を借りるのもアリだろう。だが、自分の時間としてランニングをしているなら、自分自身と向き合ってみてはどうか。仕事や家族のことなど、走りながら考えをめぐらすことができるし、良いアイデアも生まれやすいからだ。

またイヤホンをして音楽を聴いていると、さまざまな刺激を受け取るチャンスを逃してしまう。たとえいつものコースでも、走る時期、時間帯によって、雰囲気は少しずつ違う。ランニングは自然と一体化する行為でもある。草花の香り、木々の色など自然の変化が楽しみにくくなるのはちょっともったいない。

大会に出場するときは、沿道の声援を力に変えてほしいと思う。ランナーにとってレースは、言ってみればモデルがランウェーを歩くようなもの。観衆の立場からいえば、モデルがイヤホンで音楽を聴いていたら、しらけてしまうだろう。

お気に入りのウエアを着て、自分の走りをする。余裕があれば、応援してくれる方とハイタッチをしたり、手を振ってみよう。自分だけの世界に閉じこもるのではなく、他のランナーや観衆との一体感を楽しむことができるのも、レースの醍醐味だ。

大きな大会では、女子高生のブラバン演奏や、大会主催者が流す音楽、地元の踊りなど、全員で体感できる“音楽”が用意されている。そのライブを100%楽しむためにも、イヤホン音楽は不要なはずだ。

イヤホンランナーに告ぐ。ランニングを心の底から楽しみたいなら、イヤホンを外して、街に出てみよう。あなたのランニングライフはもっと豊かになるはずだから。

酒井 政人 スポーツライター

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さかい まさと / Masato Sakai

東農大1年時に箱根駅伝10区出場。現在はスポーツライターとして陸上競技・ランニングを中心に執筆中。有限責任事業組合ゴールデンシューズの代表、ランニングクラブ〈Love Run Girls〉のGMも務めている。著書に『箱根駅伝 襷をつなぐドラマ』 (oneテーマ21) がある。

 

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