稲穂:また、芸術的な建物や屋外にある彫刻の写真などでも、自分が撮ったものであっても「ブログに載せたら何かまずいんじゃないか」と思ったりする方もいるようですね。やたらと心配する人が増えているように感じます。
木本:確かに「よくわからないけど、ヤバそう」という意識はあるかもしれません。
稲穂:インターネットに権利侵害コンテンツが溢れる一方で、本来、許可など必要ないのに「許可を取っておいたほうがいいかも」という意識は明らかに強くなっているように思います。また、撮影禁止の場所もどんどん増えていますよね。
権利ばかり主張する社会は息苦しい
木本:焼き鳥屋さんでも、ちょっと雰囲気のいいお店だと、撮らないでください、というお店がありますよね。これは串カツ屋の「ソースの2度づけ禁止」と一緒ですかね。マナーの問題かもしれません。
稲穂:その意味では息苦しくなってきていますね。エチケットの範囲を超えて、なんかやばいという感覚が広がるのはよくないと思います。実際に、何らかの知的財産権があるような主張がなされていても、実はそもそも権利がなかったり、権利が発生していてもすでに保護期間が切れていたり、また、権利の及ぶ範囲の外側であったり、権利侵害とはならない例外であったりするケースも少なくありません。『楽しく学べる「知財」入門』では、このあたりの勘所もわかるようにしています。
木本:一見して複雑すぎるんですよね。専門家じゃないと、たいていそこまで詳しくは勉強しませんし。知らない人はリスクを取らずに、リスク回避するほうが手っ取り早いと思ってしまう。みんなが腫れ物に触るようになっている社会はよくないと思います。知的財産権はみんながよりよい文化活動や経済活動をするためのものだと教わりましたので。
先生の本はわかりやすいから、権利を主張する側もされる側も絶対に読んだほうがいいですね。判断の間違いも起こりにくくなるし、何の問題もないのに腫れ物に触らないようにするという愚も犯さなくなると思います。今回はとても勉強になりました。
(構成:高杉公秀)
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