本当の敵はだれだっけ?
常見 陽平(以下、常見):『SMAPは終わらない』の刊行直後に、SMAP解散が発表されて……。すごいタイミングですよね。
矢野 利裕(以下、矢野):いやぁ。本当に驚きました。
常見:「あれから僕たちは何かを信じてこれたかな」(「夜空ノムコウ」)というフレーズは、ぐっとくるものがありますよね。
矢野:聴き返してみると、そういう曲ばっかりですよ。「気持ち素直に伝えよう正直に とにかく何でも隠さずに 話をしようよ」(「しようよ」)とか、「時代遅れの オンボロに乗り込んでいるのさ だけど降りられない」(「俺たちに明日はある」)とか。どれも現在の状況を歌っているように聞こえます。ひとつの時代が終わったんだなぁと思いました。
常見:SMAPの解散について、矢野さんは率直にどう思われましたか。
矢野:これまで確執や派閥について噂され、ファンにとっては気を揉むこともありました。その意味でトラブル自体にそんなに驚きはありません。SMAPについては、それぞれ個性が違うけれど、なんだかんだでお互いを認め合い、自由にふるまう感じが好きでした。これらを私は「SMAP性」とか「SMAP的」とか言っています。
ですが、今回の解散騒動では、グループの仲の良さが維持できていないことが表に出てしまった。今年1月の謝罪映像では、社会に疲れて、自由ではないSMAPの顔を見てしまった。「SMAP性」が失われている、いや、成立していない状態です。だとすれば解散も仕方ない、と思ってしまいました。
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