木本:なるほど。絵は個人の所有物だけど、絵の「情報の部分」を使っておカネを得る権利は持っていないわけですね。
稲穂:木本さんが私の本を勝手にスキャンしてその画像をインターネットに上げたりすると、たとえおカネを得ていなくても、著作権侵害となります。
木本:そのまま使うのがマズいことはわかりました。それでは、ネットのコラムを読み、面白いと思って言い回しを変えて使うとします。かなり書き直すことも多いと思いますが、どこからが著作権を侵害することになるのでしょう。
稲穂:著作権は、著作物を複製する「複製権」や翻案する「翻案権」など、さまざまな権利の束となっています。著作物とは、「文芸、学術、美術、音楽などの分野で、人間の思想・感情を創作的に表現したもの」をいいます。元ネタが著作物の場合、それをそのまま使ったり、元ネタの表現の本質的な特徴がわかる形で書き直したりした場合は複製権侵害や翻案権侵害となります。
もちろん、元ネタの表現から離れていれば問題ありません。また、文章を作ると権利が発生すると木本さんは思っていらっしゃるかもしれませんが、ものすごく短いフレーズや、誰もが思いつくありふれた表現は、そもそも著作物ではないため、権利も発生しません。
「今でしょ」に著作権はあるか?
木本:ええ!? 短いフレーズには権利が発生しない?
稲穂:「ダメよ、ダメダメ」「いつやるの、今でしょ」に権利が発生すると大変です。あの人たちがしゃべったことで有名なフレーズになったのは事実ですが、ここまで短いフレーズに創作性を認めることは困難です。
木本:となると、和田アキ子さんの「はっ」も短すぎますね。アッコさんも特許を取ろうと思っていないでしょうが、尺(長さ)のボーダーラインはどのあたりに?
稲穂:著作権の場合、それはケース・バイ・ケースです。ところで、今、特許という言葉を使われましたが、他の権利と混同されているかもしれないので、整理しましょう。
木本:確かにわかっていないので、教えてください。
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