安さと利便性、両方の恩恵を受けられるようプランニングする手もある。筆者が以前京都に旅行することになったとき、あえて大阪に泊まったことがある。当時の筆者のイメージは「京都は食事が高い!」だったため、30分も電車に乗れば着く大阪のほうが、ホテル数も多く食事も安いと考えたのだ。昼間はしっかり寺社を回り、京風情を満喫したが、夕方以降は大阪にて安く粉もんディナーを楽しんだ。京都の旅情を24時間楽しみたいという方でなければ、こういう「ズラシ宿泊」も1つの節約方法だと思う。
旅費節約はトータルコストで考えるべき
とはいえ、GWや繁忙期の運賃はなかなか安くはできない。これもどっと人が同じ動き方をするからだ。安いとわかっていても連休の前日から休めるという人はなかなかいないだろうが、旅行ではなく里帰りの場合なら、家族別行動という手段はある。
たとえば会社員のお父さんと専業主婦のお母さん、子どもたちという家族の場合。お父さんは休日に入ってから1人で、専業主婦のお母さんと子どもたちは運賃が高くなる前に先に移動してもらうのだ。なにも旅費が高い時期に家族一緒に動かなくても、割高なのは1人分だけで済むなら、トータルでのコストは低く抑えられる。平日は子どもの学校があったり、今どきは夫婦とも会社員というご家庭も多いだろうが、もしうまくスケジューリングができれば、この家族分散移動システムは大いに節約に貢献するだろう。
一つひとつを安くする方法もむろんあるが、旅行はトータルコストを考えたほうがいい。運賃2万円の大阪行き豪華高速バスが登場し、その運賃が高いと話題になった。しかし、交通費+宿泊費+時間の有効利用セットだと考えれば、高安の判定も変わるだろう。筆者は次の旅行で、愛媛から大阪までの深夜フェリー移動を予定しているが、これも交通賃+宿泊費セットのひとつだと考えている。
「安さの理由」ということを最初に書いた。カードではなくダイレクトに支払ってくれる客には安くし(てるみくらぶ事件は言語道断だが)、早朝深夜出発などの不便さを受け入れてくれる人には安くし、人気がないエリアに泊まってくれる人には安くする。不便や不人気に対し、そこに人を集めるための「安さ」なのだというからくりを知っていれば、利用者も冷静な判断ができるのではないか。本来旅とは、非日常的な体験の場だ。頭を柔らかくしながら、安く、そしてよい旅を楽しんでほしいと願う。
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