「子どものうちなら短所は直せる」というウソ 大人の常識で子どもを測る大きな弊害

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あるいは、大事な入社試験に遅刻してしまったとします。

「しまった。遅刻してしまった。時間にルーズだから……。この会社に入りたくてせっかく今まで一生懸命勉強してきたのに。本当に情けない。こんなことでは、この先もっと重大な失敗をしてしまうかもしれない。私の人生、これじゃいけない。もうこれを機会に時間にルーズなのを直さなければ!」

こんなふうに考えるかもしれません。

この他にも、夢や目的意識が明確になったときに、スイッチが入ることがあるかと思います。「自分はこの道に進みたい」「私はこれを達成したい。成し遂げたい」「ここに入りたい」「これを極めたい」などの目的意識です。それを達成するためには、時間にルーズでは無理ですし、嫌なことでも頑張らなければなりません。忘れ物なんかしていられません。あいさつも必要になるかもしれません。そうして初めて直るのです。

もちろん、他にも「好きな人ができた」「あこがれの先輩ができた」「先生に褒められた」「ナイチンゲールの伝記を読んで触発された」などいろいろなきっかけが考えられますが、大きなものは先の2つだと思います。いずれにしても、本当のスイッチが入るのは、自分の将来・人生というものを真剣に考えられる年になってからのことです。

まだ将来を真剣に考えるということができない

ところが、子どもは自分の将来・人生を真剣に考えるということがまだできません。高校生くらいになれば少しは考えるかもしれませんが、中学生でも難しいでしょう。小学生ではまず無理ですね。保育園・幼稚園の子がそこまで考えることは、まずありえないでしょう。

もしかしたら、みなさんも、親に叱られて泣きながら誓っている子を見たことがあるかもしれません。

「もうしない? これ直す?」

「うわ~ん。ごめんなさい。直します。直します。絶対直します」

「このままじゃ困るでしょ。一生の約束だよ。絶対だよ。これからちゃんと○○する?」

「うん、約束。これから絶対○○します。一生守ります」

「じゃあ、今度だけは許してあげる」

親はこれで満足しますが、子どもは本当には困っていません。叱られるから困っているだけで、自分の将来・人生、これから先のことを真剣に考えて困っているわけではないのです。

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