子どもに「正論より共感」が響く本質的な理由 「言えばわかる」ほど単純ではない
幼児から中高生の親まで、全国の幅広い層から熱い支持を受ける元小学校教諭で教育評論家の親野智可等(おやのちから)先生。
子どもに何度言ってもできないことがあるとき、親はついつい叱ってしまいがちです。しかし親野先生は、そうすると子どもは自己肯定感を育むことができず、自信のない子に育ってしまうと前回記事で指摘していました。
では、子どもに何かできないことがあるとき、親はどんなふうに対応すればよいのでしょうか? お話を聞かせてもらいました。
前回記事:親が子どもにうっかり授ける「裏の教育」
叱るのは意味がない、必要なのは「くふう」
――親野先生は、子どもを叱ることには、いろんな弊害があるとおっしゃっています。では子どもに何かできないことがあるとき、親はどんなふうに注意すればいいでしょうか?
「くふう」をすればいいんですよ。くふうには2つあって、ひとつは「合理的なくふう」、もうひとつは「言葉のくふう」です。
「合理的なくふう」というのは、たとえばこんな感じです。
なかなか自分で歯を磨けない子だったら、あらかじめ食べる前に食卓に歯ブラシを出しておく。そうすると食後すぐ歯を磨きやすくなります。自分で磨けたら「この頃、自分で磨けるね!」と言ってほめてやる。
それをしばらく続けて、できるようになってきたら、ある日歯ブラシを出すのをやめてみる。それで磨けたらさらにほめるし、もし磨けなくなったら、また歯ブラシを出してあげればいいわけです。
そんなことを繰り返しているうちに、だんだんできるようになる。そういう生活習慣的なことについて、感情的にとがめる必要なんか、何にもないんだよね。逆効果になるだけで、いいことは一個もないです。
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