子どもに「正論より共感」が響く本質的な理由 「言えばわかる」ほど単純ではない
あとは「言葉のくふう」。否定的に言いそうになったら、口から出る前に自己翻訳する。
たとえば「いまのうちに準備しておけば、明日の朝余裕だよ」とか、「見直しすると、点数が増えるよ」とか。「こうすると、こういういいことがあるよ」というふうに言えば、子どもは素直になれます。
とがめるんじゃなくて、プラスイメージで伝えることがポイントです。とがめられると、子どもはどうしても素直になれないからね。プラスイメージで伝えれば明るい結果が予想できるから、やる気も高まります。
「ほめる」が「できる」の前にある
もう一個おすすめのくふうが、「とりあえずほめる」ことです。
たとえば、「うちの子たち、きょうだい仲が悪いな~」と思ったとき、「なんであんたたち、そう仲が悪いの! もっと仲良くしなきゃ、お母さん悲しいよ」とか言っちゃうけれど、それでは逆効果です。
子どもたちが「ぼくたちは、どうやら仲の悪いきょうだいみたいだな~」というまずい自己イメージをもってしまうから。イメージの力って大きいから、否定していてもそっちに行っちゃう可能性がある。危険なんだよね。
だから、逆に「とりあえずほめる」んです。たとえば、出かけるときにお兄ちゃんが弟の靴を出してくれたら「優しいね~。よく気がつくわ。弟も幸せだな~」とか言ってあげると、「どうやらぼくは、いいお兄ちゃんみたいだな」っていう、いい自己イメージができる。
そうやって「とりあえずほめる」ところから入ると、だんだんそっちのほうに、道ができていくんですよ。
――なるほど! でももし、ほめるところがないときは、どうすればいいですか?
部分に注目することです。全体を漠然と見ているからほめられないのであって、部分を見れば、ほめるところって必ずあるんですよ。
たとえば書き取り帳を見て、「きったない字だな~!」と思っても、「ダメじゃない、こんな字じゃ!」と言うのは意味がない。
そういうときは部分に注目する。なかには偶然、上手に書けた字があるから「あ~、これうまいね、花丸! このハライもうまい、このトメもうまい」って、部分をたくさんほめる。それを毎日やっていれば、だんだん字がきれいになっていきます。
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