P&Gが他社に無償で「成功事例」を教えるワケ 成果を追及したら、女性管理職3割になった
個々人のプライベートが充実しているほうがいい
――管理職が、多様な人で構成されるニーズを把握し、うまくマネジメントする責任を持っている、ということでしょうか。
そうです。管理職には人事権があり、部下の採用、育成、活用に責任を持っています。そのため、仮に部下が辞めた場合でも、必ずしもすぐに人員補充ができるわけではありません。次の採用まで待っていてください、と結構、厳しい場合が多いです。
こういう状況ですから、一人ひとりの部下の多様性を活かして、活躍してもらうことが上司にとっては非常に大切です。また、多様で生産性が高い組織を構築したいときに、部下から「妊娠しました」と報告を受けたら、上司はどんな反応をするでしょうか。
個々人のプライベートが充実しているほうが仕事も継続して活躍してくれるでしょうから、「長いキャリアの中で、数カ月休むことは、関係ない。しっかり休んで。でも、絶対に復帰してね」と言うでしょう。こういう風に言われたら「よし、戻ってこよう」と思う人が多いのではないでしょうか。
加えて、当社のワーキングマザーは非常に生産性が高いのです。保育園のお迎え時刻に間に合うよう、必ず決まった時刻に仕事を終える。残業代というコストを会社にかけず、生産性が高ければ当然、評価も高いのです。そもそも、同じ仕事量なら短時間でこなす人のほうが生産性は高い、と評価されるべきです。
また、子育てに限らず、趣味などプライベートが充実している人は生き生きと働きますから、成果も上がり周囲に良い影響を及ぼします。
――「女性に優しい企業」から能力発揮を求め、女性活躍へと舵を切る例を、近年、よく見ます。
企業としては、それが自然だと思います。企業によって業態が異なり、仕事の内容が違います。「すべての企業にとって良いやり方」は「ない」と私は思っています。当社には当社に合ったやり方があり、他の企業さんには、その企業さんに合うやり方がある。それを追求していくことが大事だと思います。
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