4強「侍ジャパン」、米国での難関は練習試合だ 無傷の6連勝で米国ラウンドへ向かうが…

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日本球界史上初の2年連続トリプルスリーを達成した山田哲人(ヤクルト)をDHに回して菊池を2塁に配し、4番には中田との二者択一の中で筒香を選択。嶋基宏(楽天)が直前に離脱して不安視された捕手には小林誠司(巨人)を抜擢した。

菊池が再三のファインプレーで投手をもり立てれば、筒香は22打数8安打、打率3割6分4厘、3本塁打、8打点の活躍。5番に回った中田も負けじと17打数5安打、打率2割9分4厘、3本塁打、8打点と頑張っている。

極め付きは小林だ。大谷翔平(日本ハム)が出場していれば、初戦はチームメートの大野奨太(同)だっただろうが、大谷は右足首の故障で出場辞退。菅野智之(巨人)が先発する第2戦で起用するつもりだった小林を「どうせなら第1戦から」と起用したところ、これが当たった。好リードに加え、期待していなかった打撃も大当たり。すっかりラッキーボーイ的存在になっている。

2次ラウンド第2戦のキューバ戦では同点で迎えた8回1死1、3塁の場面で、この日2安打、ここまで14打数7安打の小林に代えて「代打の切り札」内川聖一(ソフトバンク)を打席に送った。内川は見事期待に応え、右翼ライン際に勝ち越しの犠飛を打ち上げるのである。

ここまで野手の起用は完璧、一方で投手は?

監督就任以来、NHK野球解説者としての仕事がなくても足繁く球場を訪れ、精力的に代表候補とのコミュニケーションを図ってきた。選手の性格を把握、状態を見抜いての用兵。野手に関しては非の打ちどころがない。

継投については権藤博投手コーチが「その場しのぎの行き当たりばったりです」と話しているように、見えない部分がある。牧田和久(西武)を抑えに指名したかと思えば、2次ラウンド初戦のオランダ戦では6―5で迎えた9回に中継ぎで結果を出せていない則本を起用。同点に追いつかれている。

延長11回になって無死1、2塁から始まるタイブレークになれば、送りバントを処理する投手の守備力が求められる。フィールディングのいい牧田をタイブレーク用に残したという見方もあるが、同点にされるのを前提とした9回の投手起用はありえない。

結果的に10回から登板した牧田が11回に中田の左前タイムリーで挙げた2点を守って8―6で大会初のタイブレークを制したのだが、則本が9回に逆転されていたら、米国行きは危うくなっていた。

よく言えば臨機応変。中継ぎで好投を続けた千賀滉大(ソフトバンク)を2次ラウンド最終戦のイスラエル戦で先発させ、5回1安打無失点の好投を引き出した。石川、武田翔太(ソフトバンク)、則本らがピリッとしない中、千賀は決勝戦の先発候補に躍り出た。菅野の調子も今ひとつ。今後の調整次第では準決勝で使う手もある。いずれにしても準決勝からは総動員の継投になる。

侍ジャパンは16日に渡米。アリゾナ州で調整し、米国時間21日(日本時間22日)の準決勝に備えるが、ここに思わぬ難関が待ち受けている。18日(同19日)カブス、19日(同20日)ドジャースとの練習試合である。

次ページカブス、ドジャースとの練習試合が「厄介」な理由
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