低スキルの会社員を襲う「長寿化」という悪夢 「ライフ・シフト」共著者が100年ライフを語る

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――マルチステージの人生への移行に際し、政府は何をすべきでしょうか。

100年ライフへの対応は、個人が、あるいは企業がそれぞれ取り組む必要があります。政府も同様です。まず、退職前後の働き方を柔軟にするために、あるいはキャリア全体を通じての労働時間の柔軟性を確保するために、雇用法制を整備する必要があります。人口減少や高齢化のなかでも経済成長を維持するために、ロボットの活用を促進することや高齢化対策の法案をつくること。これらはどれも重要です。

長寿化に対応した公教育の整備をすることも重要ですし、子どもや若者だけでなく、人が生涯、人生の各ステージで教育を得られるようにすることも重要です。

100年ライフを賄うには

――失業した人、高齢になった人へのサポートは必要でしょうか。

所得の低い人、不幸にも仕事に恵まれなかった人にはサポートをすべきです。それには、対象者をきちんとターゲティングすることが必要です。高齢者のいる家族へのサポートも重要です。

――その資金は、どう賄えばよいでしょうか?

どう賄うかって? 日本は長寿化と高齢化の2つの課題に直面していますよね。長寿化というのは、人々がより長く、より生産的に働くということです。一方、高齢化というのは、社会のなかで、高齢者の比率が増えていくということ。私たちはより健康になり、長寿社会にもよりよく適応しようとしています。つまり、長きにわたってより生産的でいられるということです。長寿化は『ライフ・シフト』のメインテーマでしたが、それは社会がどう高齢化を賄うか、という問題にも通じています。

ここまで述べてきたように、長寿化のなかで高齢者が生産的であることができれば、経済は成長し、100年ライフを賄う道も開けます。その意味で、長寿化への対応を考えるということは、高齢化への対応にもつながります。100年ライフを賄うには、生産性の向上による経済の活性化がカギとなるのです。

(取材協力:タトル モリ・エイジェンシー)

東洋経済新報社 出版局
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