キャンセルしたい宿泊予約、実は転売できる 宿泊権利売買サイト「Cansell」の潜在力
一方、Cansellは購入する側にもメリットがある。ホテルを予約したい利用者は、宿泊したい地域を入力し、出品されているホテルを探す仕組みとなっているが、ほとんどのホテルは、もともと出品者が予約した料金よりも安く出品されているからだ。
ありそうでなかった「宿泊権利の売買」というビジネスを始めたのは、どんな会社だろうか。
同社を運営するのは2016年1月に創業したCansell。代表の山下恭平氏はリクエストの多い映画を映画館で上映するオンデマンドサービス「ドリパス」のプロダクトマネジャーを務めた後、2013年の買収によりヤフーに移籍したという経歴の持ち主だ。
その山下氏が、ドリパス時代から一貫して持ち続けているのが「三方良し」の信念。実際、Cansellは、旅行者はもちろん、宿泊施設側のメリットも意識したサービスだ。「購入者がオプションを追加したり、ディナーをグレードアップしたりなど、ホテル側の収益増につながっているケースもある」と山下氏は話す。
ホテル側はどう考えているのか
キャンセルは、宿泊施設にとっても頭の痛い問題だ。あるホテル関係者によると、キャンセル率は予約全体の約4割に上る。特に、エクスペディアやブッキング・ドット・コムなどの海外のオンライン旅行会社経由での予約キャンセルが多いという。「予約のキャンセルがあると、販売機会や食材の損失が発生する。宿泊施設側としては、規定どおりキャンセル料をいただきたいが、スムーズにお支払いいただけないお客様がいるのも実情だ」とこの関係者は話す。
こうした中、Cansellのような宿泊予約を譲渡できるサービスがあれば「気が重いキャンセル料の請求をしなくて済むし、『次の予約につながらないのでは』という不安も解消してくれる」(同上)。
日本における宿泊権利の2次流通サービスはCansellが国内初となるが、そもそも宿泊権利の譲渡は法的に問題がないのか、旅行業界に詳しい三浦雅生弁護士によると、「全国のホテルや旅館で使われている『モデル宿泊約款』には、禁止規定がないので、宿泊権利を包含する契約上の地位の譲渡として、宿泊施設の同意があれば、譲渡は可能」だという。
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