キャンセルしたい宿泊予約、実は転売できる

宿泊権利売買サイト「Cansell」の潜在力

Cansellが登場前は、宿泊予約を売買するには、オークションサイトを利用するしかなかったが、こうした取引にはリスクが伴う。たとえば、コンサートチケットなどは業者が買い占めて、高値で売ったり、転売したりする事態が問題視されている。三浦弁護士によると、転売自体は違法ではないが、宿泊施設側が転売と知った場合に宿泊を拒否されるリスクなどがあることを説明せずに転売した場合は、「詐欺罪」になる可能性もあるという。

こうした問題を防ぐために、Cansellではどのような対応をしているのだろうか。まず、前述のとおり、営利目的の転売を防ぐため、予約時の代金より高い価格での出品を禁止している。また、すべての出品に対して審査を実施。キャンセル枠の実在確認とともに、宿泊施設から名義変更の同意も得ている。加えて、宿泊人数や朝食の有無まで予約情報の確認も徹底するようにしている。万が一、購入者が予約した宿泊施設を利用できなくなった場合、代わりの宿泊先を手配するサポート体制も導入した。

レストランやアクティビティ予約の取り扱いも

「高額転売は市場原理として理解しているが、永続的に発展するサービスを創りたいとの思いから、予約時の価格より高い価格の出品を禁止した。取引の安全性を担保する仕組みを構築し、健全な2次流通サービスを目指したい」と山下氏は話す。

2016年9月のプレビュー版リリース後、口コミやSNSなどで徐々に名前は知れ渡りつつある。複数の宿泊施設や旅行会社から「詳しく話を聞きたい」との申し出もあったという。実際に話し合いをしたというあるホテルは、「旧態依然のホテル業界からすると、新しい視点の取り組みなので、今後の動向がとても興味深い。宿泊業界全体の活性化につながるようなサービスにしてほしい」と期待を込める。

2017年1月には、DGインキュベーションやカカクコムなどを引受先とする総額4000万円の第三者割当増資を実施。続けて、ホテルの口コミ評価マネジメント最大手のTrustYou(トラストユー)との業務提携も発表した。

「これにより、世界250カ国以上の旅行サイトから収集したホテル情報が表示されるようになり、よりサイトの利便性が高まった」(山下氏)。今後は、レストランの予約権やアクティビティの参加権など、横展開も視野に入れているとのこと。将来的には団体旅行のキャンセルにも対応できる仕組みをつくりたいという。

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