「一人旅歓迎」の温泉宿はなぜ増えているのか 一部の旅館が気づいた、意外と多いメリット
ふらっと気ままに一人旅
「ふらっと一人旅に出る機会を常に狙っている」という人が意外に多いのではないだろうか。じゃらんリサーチセンターの「宿泊旅行調査」によると、一人旅は調査開始以来毎年増加し、現在では旅行件数の17.5%を占めている。10年前と比べるとその増加は162%と、他の旅行形態に比べて圧倒的な増加率だ。
この背景には、一人世帯の増加に加え、「周りと休みが合わない」、「一人のほうが気楽」、「趣味を追求できる」といった旅行者側の事情や嗜好の変化が推察できる。
一方、一人旅を受ける宿泊事業者側の変化もある。都市部でビジネス客向けのバジェットホテルやバックパッカー向けのホステルが増加しているが、地方の温泉でも一人旅を歓迎する宿が増えているのだ。その裏にはどういう背景があるのだろうか。
東京から上越新幹線に乗り、越後湯沢駅でローカル線に乗り換え、約2時間。コシヒカリで有名な「魚沼」地区の小さな駅「小出(こいで)」駅に着く。駅前からバスに乗り、湯之谷温泉郷と呼ばれる谷沿いの温泉地を最奥部の終点までたどると、そこが「栃尾又(とちおまた)温泉」。まるで映画に出てきそうな秘湯感あふれる風情の温泉だ。東京駅を10:40に発つと、栃尾又温泉バス停に着くのが13:46。宿のチェックインが「13時頃」や「13:45」となっているのは、このバス到着時間のためだ。
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